<< 2026/04 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

背景の記憶(335)

 半世紀以上も前の記憶をベースにして、面影を追いかけているなんて、滑稽極まりなく笑いもんだろう。己れを鏡で見れば、否応なしに分かろうというもんだ。遠い昔のあの頃、描いていた夢や希望が、当時のものとは全く別物に変化したことを、当時の僕が知る由もない。お人好しと言えば、そうとも言えるし、鈍感男と言われれば、それを自認するしかない。儚い夢追い人というわけだ。

 再会場面を想定する。僕はあの頃のままの僕なのに、貴女は、君は、とんでもなく別人だ。逆に僕自身もそう映っているのだろうか。こんだけ変わんないと思っているのに。人生の書き換えは出来やしない。双六ゲームのように、振り出しに戻って再出発なんて出来やしない。タイムトンネルでもないかぎり。

 夢の中で、じゃんけんを求めた君は、まるで幼子のような自然な笑顔だった。何のためのじゃんけんだったのか、確かめもせずに僕はパーを出していた。負けると確信して、君を勝たせようとして、そして君の要求を丸々受け入れようとして。でも君は違った。後出しじゃんけんで!君はグーをだしたのだ。僕の心が読まれたのか、明らかに意図的な負けのじゃんけんだった。あり得ないと思った。なぜ?と思った。それが貴女の最大限の優しさだったと気付くのに、僕は随分と時を要した。そんな愛情表現もあるのかと涙した。

posted by わたなべあきお | - | -

平然と

 【人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている】


 【沈黙が切ない。切なければへこたれてもいい。

  それでもともかく、人は歩き出すしかないのである。】


             【伊集院 静】

…………………………………………………………………………………………………………………

  時が止まったように、静寂が身を包む。

  世間と隔絶させられたかのような淀んだ時間だ。

  裏事情が分かれば分かるほど、テレビが白々しい。

  それでなくても、意図して観るわけでもないのだが…。

  年齢の近い有名人の近影に驚きを感じる。驚愕と言ってもいい。

  同時に、己に置き換えてみて、さらに滅入る。

  時は嘘をつかない。確実に変化を押し付けてくる。

  両手で覆っても、振り払っても、その隙間を突き抜けて来やがる。
 
   

   

posted by わたなべあきお | - | -

▲page top