二十歳の頃、叔父の仕事を手伝っていた。
港湾建設のハードな仕事の中、事務兼現場監督兼・・・要するに
何でもさせられていた。
季節労務者の人たちには「あきちゃん」と可愛がってもらった。
飯場のおばさんにも実の子のように接してもらった。
鹿児島出身のひとたちの焼酎に付き合わされ
ほろ酔いで波止場に寝転がって星空を見るのが
唯一の自分の時間だった。
ある時、社長の叔父に言われた・・・
「おまえは<世捨て人>みたいな奴やな」と。
反論するわけでもなく、僕はだまりこくっていた。
そして別れた彼女の言葉を反芻していた。
「あなたはいつも何処か遠くを見ている・・・」
まったく実感したね
無視、無関心の凄さ、冷たさ・・
そのこと自体よりも、その行動がとれること自体への
怖れのようなものかな
僕には、そこまでの体現はとてもじゃないができないね
それこそが当人の本質なんだろうね
あるいはまた視点を変えれば
そうしなければ、自分を保てない弱さの裏返しかもしれないね
そこで僕は考えているんだよ
そのまた上を行ってやろうと・・・ね
言葉と行動は何も変えずに
心の中での抹殺
そう自分に言い聞かせながら
自分自身の冷酷さを感じたよ
やっぱりこれは想像だけの世界に閉じ込めておこう
僕自身が仕返ししなくたって
天は、与えるべくして与えてくれるはずだからね
人間として領域を超えた世界だよ