まるで子供の飛び出しのように
きみは前しか見ないで
自転車をこいだ
僕はちょっとしたいたずら心で
家の陰に隠れていたのだが
あまりのスピードに
その先の出来事が怖くなって
後ろから声をかけてしまった
急ブレーキをかけた君は
照れたような怖いような
複雑な表情で僕を睨んだ
二十歳のエチュード
父よさらば
兄よ姉よ弟よさらば
かわいそうな継母よさらば
すべてのよき先生方よさらば
そして我を愛してくれた女たちよさらば
今我は母の心のみを抱いてただひたすら
放浪の旅へとたたん
すべての関係者関係事よ
わが胸の中から去ってくれ、お願いだ
一個の生物体はどこへ行く
暗い夜空の彼方へと流れ星となって
飛んで行け
見えなくなっても飛んで行け