僕を劇的に変えてくれたのは
そう・・・あなたでした
生徒6人の英会話教室
京大生や大学院生の中で
僕はちょっと浮いていた
でも金髪でスレンダー美人のS先生は
僕をとても気にかけてくれた
目と目で会話をする・・・
20年であんな経験は初めてだった
何回目かのレッスンのあと
先生が僕に声をかけてくれた
「チョット ジカン アリマスカ ?」 はい!
先生のてんとう虫のような車で喫茶店へ行った
まじめすぎる
もっと体も言葉もオーバーアクションで
pretend・・・○○○のようなフリをすることね
今のの自分と違う人間になってみることね
そのようなことを話すと
先生は優しく微笑んだ
それから毎レッスン後
いつもの喫茶店で約一時間
先生との個人授業が始まった
小学校三、四年生の漢字ドリルで
僕が先生に日本語を英語で教える〜というスタイル
これが二年間続いた
先生がミセスだと知ったのは
かなり時間が経ってからのことだった
そのきっかけが幼い(?)僕には衝撃的だった
そしてその時こそが
僕のオトナへの入門だったのかもしれない
夕暮れ時、いつもの公園で
きみは待っている
バスを降りてからの小路を
僕は速足で歩く
角が二つあるので
公園からは直接確認できない
時々、僕はいたずらをする
直前の角の手前で木陰に身を隠す
時間厳守のきみは、約束の時間が五分も過ぎれば
心配げに僕を探しに歩き出す
きみが行き過ぎた後
僕は忍び足で公園に行き、ブランコに揺れる
きみが帰ってくる
「えっ!」きみが目を丸くする
事情を察知したきみが
拗ねたふりをして先に歩き出す
僕が追い越して振り向きながらゴメンナサイをする
ふたり
黙って手を握り合って歩き出す
僕は軍隊の行進のように
大きく腕を振り上げる
きみはわざと歩幅をずらして
さっきの仕返しを試みる
そんな・・・ふたり