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黒子

その時初めて、私は自分でも説明のつかない、何か不可思議な心の粟立ちを感じた。
それはかすかな、それとはわからないほどかすかな嫉妬であり、悲しみであり、
空しさだった。慣れているはずの感情には違いなかった。私はいつも、人生に生じる
幾多のささやかなドラマの中心人物にはなれない人間だった。よくても端役、悪ければ
黒子にすぎず、ドラマは私がいてもいなくても、滞りなく進んで終焉を迎えた。

      「欲望」【小池真理子】

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まるで自分のことを言い当てられているような文章に出くわす。

芝居で言えば端役や黒子でも、僕にとっては、そこが居心地が良かったのだ。

歌で言えば、バックコーラス。旋律で言えばアルト…そんな感じ。

居直り的に考える時がある。主役も脇役あっての主役なのだ。

一人芝居でもないかぎり…。

posted by わたなべあきお | - | -

たった一人

 
 今は、一人の人が何を思うかすごく大切な時代です。

 生きている毎日の生活の中で、たった一人の人間でも

 てきることが、きっとあるのではないかと思います。


               【加藤 登紀子】

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誰にも……

  

【人が心に思うことは  

       誰にも止められない】

     

       映画「時代おくれの酒場」

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見神

  私は人間への奉仕を介して見神に励んでいる。

  私は神が天界にましますのでも、下界にましますのでもなく、

  一人一人の心の中にましますのを知っているからだ。

  実際、宗教はわれわれ人間の行為のすべてに浸透していなければならぬ。

  そうなってこそ、宗教は宗派心ではなくなり、宇宙の秩序ある道義的秩序への

  信頼を意味するものとなる。


          【ガンジー】

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歴史の種

 目の前の出来事を軽く見てはいけない。今の一言、今の判断、今の沈黙、今の不誠実は

その瞬間だけで終わらない。誰かの心に残り、次の行動を生み、次の時代の空気を作る。

戦争も、差別も、宗教対立も、政治的な憎悪も、突然生まれるのではなく、小さな記憶の

積み重ねが、ある時に神話化され、正義化され、怪物のようになって現れる。

 目の前の出来事の中に、未来の歴史の種がある。だから今、どう行動するか、それを

どう語るか、どう受け止めるか、人間の責任はそこにある。愚かな選択による自業自得は

本人や為政者の勝手だが、それが歴史となる時、多くの人を最悪の負の連鎖に追い込む。

                【長松清潤】

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おふくろ

  

  《自分の中に法律があるとしたら、おふくろだよね。

   「あんた恥ずかしいことしなさんな」って、いつもそればっかりですね。

   45才でフリーになりました。自分がここで死ぬんだってところを早く

   見つけたい。往く道は精進にして、忍びて終わりに悔いなし

   不器用ですから、自分は……》


        【高倉 健】

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【自分】という一人称が、これほど似合う人はいないと思う。

  僕が使う【僕】のなかには、一種の【逃げ】と【甘え】が

  あるように思えてならない。

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かへらない



  「かへらないことが最善だよ」

  それは、【放浪】の哲学


         【金子光晴】

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僕は、【放浪】の真似事をしていたわけだ

 自身の言い訳のために…

自身のかっこつけのために…


 


  

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静かなひと


  静かな者ほど

  いったん自信を持てば

  頑固な点がある


     【伊集院 静】   


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一年草

    ねがい


   ただ 一つの

   花を 咲かせ

   そして 終る

   この一年草の

   一途さに

   触れて生きよう


      【坂村真民】

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ブックエンド

私の両親は、いわば対になったブックエンドようなものだったと言っていい。

中身がどんなものなのか考えようともせず、必死になって左右から押さえ込み、

表面を取り繕ろうための努力を惜しまない。本が逆さまにならないように、棚から

落ちてしまわないように、彼らは気を配り続けた。そして私は、おかしな言い方に

なるが、そんなブックエンドにはさまれて育った一冊の本だった…。

         
         【小池真理子「恋」】


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状況を引用して、自分に当てはめてみたら、僕は父の書斎の中の膨大な量の本たちの

なかで、引き出されることもなく積み重ねられた本たちの中に挟まれた、一枚の

メモ用紙的存在だったのかも知れない。僕自身が何かに書き残している。

「そこに家は存在していたが、家庭がなかった…」事実、ごく稀に立ち寄っても、

僕自身の部屋というものは存在しなかった。もし、帰ってきた時のために…という

思い遣りも無かったというわけだ。

posted by わたなべあきお | - | -

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