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時分の花

   若さの積み重ね

   その先に存在し得る 輝く結晶

   いや、しかし…

   若きその時の その一瞬の美こそが

   素晴らしいのではなかろうか

   もう二度とは帰れない

   あの輝き

   懐かしむ老人の眼差し

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真珠

   真珠が

   貝中に挿入した異物を

   その涙に等しい体液で包んで

   美しく結晶する相を

   想うべし

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帰ってきた詩集

   ひとすじの道をみつめなければならぬ

   とこまでつづき

   どこで絶えるのか

   それは問わぬ

   ひとすじの道をみつめなければならぬ

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率直性

   率直性

   その新鮮さ

   それが最大の美徳であること

   …それに気付くまでに

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脱出

   脱出

   それは

   小気味よいこと

   後に残ったものは

   指を咥えて…

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拒絶反応

置き去りにされた悲しみは

あなた方の胸には響かない

暗いバス停の前で

ひたすら帰りを待っていた

一台また一台と バスが通りすぎて行く

家に鍵がかかっていたわけではなかったけど

真っ暗で 食べ物もなくて…

わずか四才の僕には恐怖心が襲いかかって…

バス停の灯り下の方がまだ安心で…

当時の幼子に

新婚さんの戯れ事など分かろうはずもなく…

あの瞬間から

僕の拒絶反応は固まってしまったと思う

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人の見る夢

あなたは僕の心を知らない
知る由もまた無い
当然と言えば当然
何ら差し挟む余地も無い

でも、あなたは僕の裏返しのように思えてならない
素っ気なさの奥に
溢れる好奇心の眼を見つけた気がする
あらぬ方向を見ているようで
心の眼は此方を凝視している

互いの特有の視線が激しく交錯する
バチバチと音を立てて
そこに生まれる火花の中に
一本の煙草を差し出してみる
吸い込んで赤みを帯び始めた瞬間に
何処からか しかし確実に
消し去ることを目的とした風が吹き抜ける

その風元を確認しようと振り向いたとき
その主の姿はなく
ほのかな灯りを伴って
天へと昇って行った
人のみる夢と書いて儚いと読む

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或る人に捧げる私の弁証法

その人はまぶしい
私はひどく気を遣う

その人の得意な笑顔
一点の曇りもない爽やかな笑顔から
私は逆に
宇宙の寂寥を読み取る
まるで星座のような...

そうです
そしてまた
人知れぬ夜空の深淵に飛び交う
閃光のささやきを

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ただ一筋に

   この願いは…
   
   この祈りは…

   かならず あなたに 届く

   願い 祈り が 光の玉と化して

   あなたの病巣を焼き溶かす

   白く重いドアの向こうで闘っているあなたに

   必ず届く

   そう確信して…

   そう信じて…

   思いを光に合体させて一筋に飛んでいく
   
   ただ一筋に



Hydrangeas.jpg

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憑依

人はいとも簡単に近づき

そしていとも簡単に去って行く

まともな挨拶もなしに…

自分こそが主体者であるとでも言うように…

名前も居所も履歴も

どこまてが真実か疑わしい

架空のなかに 空想のなかに 

本人とは違ったもう一人の自分を生み出し成長させ

冒険を試み、好き勝手に暴走させてみる

そして架空の側壁に激突、大破させ、事故死する

いや、事故死させてみる

そして離脱した霊魂のように

次の憑依体を求めて彷徨い歩く

posted by わたなべあきお | - | -

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