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真夜中の靴音

真夏の真夜中

あなたは颯爽と歩いている

まさに風を切るかのごとく

男勝りのその歩調とは

ちょっと不釣り合いな軽い靴音が響く

何分の何拍子とも言えない正確極まりない歩調

シュッ シュッ シュッ シュッ………シュシュッ シュシュ! 

まさか今、スキップを踏んだ?

そうか…あなたは確信したんだな

よかった! と あれっ! と…

僕の立ち位置を確認したくなる

僕は真夏の夜の寝床じゃないか

じゃあ…あの靴音は?

リアルすぎるスキップ音だけが

いつまでも耳奥に響きつづける

posted by わたなべあきお | - | -

ひとりひそかに

  ひとりひそかに


  深海の真珠のように

  ひとり ひそかに

  じぶんを つくってゆこう

    【坂村真民】

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 人間下座の経験のない者は、まだ試験済みの人間とは言えない。


  
         【森 信三】

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いわゆる「下座行」は、高校生の時からあたりまえのこととして経験した。

辛いと思ってしまえば、「行」にはならない。

今も昔も同じだが、トイレ掃除とかごみ拾いとか…

外見さりげなく、サッとできてこそ、そこに意義がある。

posted by わたなべあきお | - | -

  垣間見た 人の心の瞬間は

  見事なまでに的を射た正解で

  他の場面すら要しない

  そんな千里眼的要素が この身にあろうはずもなく

  ただボンヤリと 薄目を開いて見ていただけのこと

  彼らが 自然を装おうとすればするほど

  その不自然さは増幅し鮮明化し

  嘘の固まりが突出して 弾け飛ぶ

posted by わたなべあきお | - | -

天空の城

自分は自分であって
他の誰かさんではない
他人様の眼が作り上げた僕は
誰がなんと言おうと僕ではない

親のせいにして
辛うじて自分を保っている人を見る
その際どいアンバランスな心に同情を覚える
みんな みんな 似たり寄ったりさ

梅雨空のベタついた空気が
心の中まで染み込んでくる
吸い込んだ空気が 酸素が
脳まで届かずに
冴えない頭を さらに混乱させる

こんな時こそ こんな時こそ
母に居てほしい
言葉は要らない
温もりだけで 僕は救われる

天空の城に旅した夢を見る
虚像の世界のその中に
リアルな母の実像を発見する
しかし しかし
いつものように いつものように
母は僕を追い返す
まだ此処へは来てはいきません…と


 

posted by わたなべあきお | - | -

時分の花

   若さの積み重ね

   その先に存在し得る 輝く結晶

   いや、しかし…

   若きその時の その一瞬の美こそが

   素晴らしいのではなかろうか

   もう二度とは帰れない

   あの輝き

   懐かしむ老人の眼差し

posted by わたなべあきお | - | -

真珠

   真珠が

   貝中に挿入した異物を

   その涙に等しい体液で包んで

   美しく結晶する相を

   想うべし

posted by わたなべあきお | - | -

帰ってきた詩集

   ひとすじの道をみつめなければならぬ

   とこまでつづき

   どこで絶えるのか

   それは問わぬ

   ひとすじの道をみつめなければならぬ

posted by わたなべあきお | - | -

率直性

   率直性

   その新鮮さ

   それが最大の美徳であること

   …それに気付くまでに

posted by わたなべあきお | - | -

脱出

   脱出

   それは

   小気味よいこと

   後に残ったものは

   指を咥えて…

posted by わたなべあきお | - | -

拒絶反応

置き去りにされた悲しみは

あなた方の胸には響かない

暗いバス停の前で

ひたすら帰りを待っていた

一台また一台と バスが通りすぎて行く

家に鍵がかかっていたわけではなかったけど

真っ暗で 食べ物もなくて…

わずか四才の僕には恐怖心が襲いかかって…

バス停の灯り下の方がまだ安心で…

当時の幼子に

新婚さんの戯れ事など分かろうはずもなく…

あの瞬間から

僕の拒絶反応は固まってしまったと思う

posted by わたなべあきお | - | -

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