半世紀以上も前の記憶をベースにして、面影を追いかけているなんて、滑稽極まりなく笑いもんだろう。己れを鏡で見れば、否応なしに分かろうというもんだ。遠い昔のあの頃、描いていた夢や希望が、当時のものとは全く別物に変化したことを、当時の僕が知る由もない。お人好しと言えば、そうとも言えるし、鈍感男と言われれば、それを自認するしかない。儚い夢追い人というわけだ。
再会場面を想定する。僕はあの頃のままの僕なのに、貴女は、君は、とんでもなく別人だ。逆に僕自身もそう映っているのだろうか。こんだけ変わんないと思っているのに。人生の書き換えは出来やしない。双六ゲームのように、振り出しに戻って再出発なんて出来やしない。タイムトンネルでもないかぎり。
夢の中で、じゃんけんを求めた君は、まるで幼子のような自然な笑顔だった。何のためのじゃんけんだったのか、確かめもせずに僕はパーを出していた。負けると確信して、君を勝たせようとして、そして君の要求を丸々受け入れようとして。でも君は違った。後出しじゃんけんで!君はグーをだしたのだ。僕の心が読まれたのか、明らかに意図的な負けのじゃんけんだった。あり得ないと思った。なぜ?と思った。それが貴女の最大限の優しさだったと気付くのに、僕は随分と時を要した。そんな愛情表現もあるのかと涙した。
【人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている】
【沈黙が切ない。切なければへこたれてもいい。
それでもともかく、人は歩き出すしかないのである。】
【伊集院 静】
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時が止まったように、静寂が身を包む。
世間と隔絶させられたかのような淀んだ時間だ。
裏事情が分かれば分かるほど、テレビが白々しい。
それでなくても、意図して観るわけでもないのだが…。
年齢の近い有名人の近影に驚きを感じる。驚愕と言ってもいい。
同時に、己に置き換えてみて、さらに滅入る。
時は嘘をつかない。確実に変化を押し付けてくる。
両手で覆っても、振り払っても、その隙間を突き抜けて来やがる。
誰だって誰かと比べたら足りないし、比べはじめたらきりがない。
でも、自分がこれで十分だと思えば十分じゃないか。
人と比べるより、自分の好きなものや自分らしいものを基点に生きる方が、
ずっと楽しい。
人と比べて無理をせず、あるがままを喜ぶ。
くよくよ悩まず、なるようになると覚悟を決める、
問題を解決しなければと執着せず、「まあ、いいや」と思う。
【藤村俊二】
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本当の武術の達人は、豪腕の人ではなく、力を抜くことを知っている人だ。
脱力して、ヒラヒラとしていながら、芯は強い。
「がんばっている姿を見せるのは、カッコ悪い」
猛烈に頑張っても、人前では努力の欠片も見せない、飄々とした人でありたい。