<< 2026/06 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

個を強くすることだ。

それでなければ、日本人の強靭さは確立できないだろう。

苦言を言うが、君たちが何も持たない普通の若者なら、

人の何倍も苦節を経験しなければ、

本物の大人の男にはなれないぞ。

本気で憤れ。心底口惜しいと思え。

それしか強くなる方法はない。


      【伊集院 静】

posted by わたなべあきお | - | -

二十歳のエチュード

20260615_201500.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

灯火

僕は25才までで、人生の八割方を生きたように思う。

あくまでも、その密度において…という話だが。

それは(人の死)であり、(別離)であり、(師弟)(男女の仲)であり…

それ以降が無意味と言っているわけではない。

惰性とも、仕方なくとも言っているわけではない。

ただ魂の磨り減らしという点で言えば…そういうことになる。

僕は、かなり早々と蝋燭の火を燃やし切ってしまったようだ。

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(338)

黒の中の真っ黒を意識したのは二十歳の頃だったか。

それは僕の安アパートに潜り込んできたアキラ君のイメージだった。

なにせ着ているものは、上から下まで黒づくめの彼だった。

それに加えてほとんど言葉を発せず、唯一「チッ」と言うのが彼の癖だった。

ショートホープと使い込んだジッポのライターが自慢だった。

セブンスターでもハイライトでもないところが彼のこだわりだった。

ローリングストーンズのミックジャガーを好み、ヘアスタイルも酷似させていた。

器用に裁縫ができ、ジーパンを自分好みに加工していた。反対に僕は…

彼の対極にいて、どこにでもころがっている名もなき石ころみたいなものだった。

当時の拙い詩集の中に「黒い宿り木」という詩がある。

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………

      黒い宿り木

   きみはどこでどう 俺を見間違えたのだ
   もう5年も 光を拒否し
   暗闇の中に 溶け込んでしまおうかという俺なのに
   この真っ暗やみでも きみは 俺が見えるというのかい
   ほんとうに へばりついてきた
   共倒れだぜ この野郎…

   死滅したはずの過去が 巨大な水滴となって
   砂漠と化していた 俺の瞳を濡らした
   ただの黒と思っていたのに その中に
   俺は 強い 生きた黒を 見た
   澱んでいた色彩が 黒いメロディーを 奏で
   やがて 混沌の心臓そのもののように
   きょうれつなビートで 枹が おどりだした  

   慈愛に 充ちあふれた 無知なる男
   回生の魔力をもった 神業師くん
   きみは 黒い宿り木よ


20260413_123548.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

手紙

絵画も小説もそうだが、

創造の肝心は表面に見えるものではなく、

一行の文章に、作者の生きる姿勢、

なぜそれを描(書)かねばならなかったかが、

あらわれてくるものだと私は考えている。

……………………………………………………………………………………………

便利なものには毒がある。

手間がかかるものには良薬が隠れている。


          【伊集院 静】

………………………………………………………………………………………………

メールてはなく、手紙を書こう…

20260413_124223.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

一夜の夢

この世における栄華、快楽なんて、どうってことないんだよ

その場かぎりの瞬時の夢、幻に過ぎない

この生における難関、難題の突破こそが来世の至福を約束する

♪越えて行けそこを 越えて行けそれを…

眼の向けどころを変えてみろ  

心眼を見開け

一瞬の光線を見逃すな

まばたきすら赦されないことを知るだろう

どうせこの世は一夜の夢

近視眼的生き方をやめよ

三世の因果を実感せよ

今生は過去世の鏡、そして来世の試金石

だからこの年の、この一瞬も、疎かにはできないのです

posted by わたなべあきお | - | -

密度



   なにが問題か?

   それはね…

   時間の長さじゃなくて

   密度の問題なんだよ

   何の密度って?
   
   それはね…

   ひ.み.つ

   分かる人には、分かるでしょ

posted by わたなべあきお | - | -

読書


読書は、単に智的な楽しみだけであってはならぬ。

直接間接に、わが生き方のプラスになるものを選びたい。

それには単に才能だけで生きた人のものより、

自殺寸前のギリギリの逆境を突破して、見事に生き抜いた

人のものの方がより深く心を打つ。


       【森 信三】

posted by わたなべあきお | - | -

自己主張

人間の大方は、自分本位であり、端から見れば傲慢であり強情張りであったりする。

肯定的に言えば、それがその人の自己主張であり主義でもあるわけだ。何でもかんでも

人の言うことに頷いていては、八方美人とか風見鶏とか揶揄される。要は、選別、

聞き分けの問題だろう。よく聞き分けたひとの反応には、確かな説得力がある。

ある人の話になって、僕が「どうしたものか?」と呟いたら、平素寡黙なひとが、

「あの人は自己主張がちょっと強すぎますから…」と独り言のように呟いた。

ああ、見る人は見てるんだ、見抜いてるんだ…と感心させられた。

posted by わたなべあきお | - | -

別れの鳴き

 地球にはさまざまな美眺があるが、澄み渡った春の初めの青空に、真っ白な翼をひろげたハクチョウの(渡り)はかなり上等な美眺のひとつであろう。
 タンチョウヅルは(渡り)が近づくと、日本で生まれ育てた子供のツルに対して、
「もうそばに来てはイケナイ。離れなさい」
と鋭く鳴いて追い払うのを知った。
【別れの鳴き】と呼ぶらしい。
 その様子をテレビで見たのだが、昨日までのように親にすがろうとする子供を、鋭く鳴いて追い払う。その時の子供の戸惑うような目がなんとも切なかったが、しばらく見ているうち、これが生きるという行為で、親がそうするのは、彼らが今日まで生き延びているすべてなのだとわかった。
 見ていて切なくなる子供の、救いを求めるような眼差しは、人間社会でいえば、可哀相だ、になるのだが、ツルは平然とそれをする。
 そうしなければ生きていけないのだ。それが生きるということなのである。
 以前、出版した本に「別れる力」というタイトルの本があったが、そこで母馬と子馬が別れるシーンを書いた。
 姿が見えなくなった母馬を呼んで子馬は一晩中いななき続ける。
 可哀相な声という人もあるが、立派な馬に育てるには必要なものであり、大きく、哀しくいなないた馬の方が立派に育つらしい。
 そう考えると、今、一番ダメなのは、やはり人間だろう。
 この頃、子供に対しても、ましてや可愛いと思う孫に対しても、厳しく接する親、祖父母が少なくなった。


         【伊集院 静】

posted by わたなべあきお | - | -

▲page top