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ふたりの自分

母親似(母方似)あるいは、父親似(父方似)というのは、かなり歴然と子供に現れる

もので、容姿と言わず性格と言わず、驚くほどに出てくるものである。もちろん

双方を兼ね備えた面も無くはないが……。その事が、後に子どもたちへの接し方や

思い入れにまで影響してくることを考えると、少々話はややこしくなってくる。

僕の場合、幼くして母とは死別しているから、母に関してはほとんど、いや全く

その残像はない。そのせいもあるかも知れないが、自身はいたって無個性である。

強いて言えば……個性のないのが個性なのかも知れない。加えて……

母の溺愛を受けたとか、父の訓導を受けたとかが皆無に等しいものだから、

この家出息子たる己はまるで軟体動物のようなふにゃふにゃ人間になってしまった。

世の中の荒波に揉まれて……と言えば聞こえがいいが、生きた時代性もあり、

複雑怪奇な人間が生み出されたと言っていい。

そもそも個性的とは何ぞや?

優柔不断は熟慮断行の一面ではないのか?

……と、いささか弁解染みてくる。

その反動だろうか……父に「脱出の名人」と言わしめた少年期、青年期の

自分がいる。それはかっての詩人や小説家の一面のようでもあり

まったく無謀無知な流離い人のようでもある。

表面上、落ち着いているかに見える今日でさえ、心の奥底では、またまた性懲りもなく

脱出、放棄を画策する己がいる。もちろん夢のまた夢の話だが……。

それでも心の片隅で蠢いているのは紛れもない事実である。加えて言えば……

そのさきに自死の具体的イメージが無いだけ、極めて凡人中の凡人なのかも知れない。

いつもの台詞だが……僕はふたりの自分を生きている。

心療内科医的に自己分析すれば、その微妙なバランス感覚が、

極端な衝動的アクションの防御的役目を果たしているようだ。

己よ、君は生きている。

あぁ、生きているさ。

おまえもシッカリ生きなさい。

posted by わたなべあきお | - | -

常備品

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日常生活の中での役割分担に洗濯物干しとその取り込みがあるのだが、

この季節、厄介なのはカメムシ対策である。一回の取り込みに十匹くらい

いることがある。

そこで必要としているのがガムテープというわけだ。

あの悪臭を発せられる前に、素早く対応する。

敵もさるもの……ひっくり返って死んだふりが得意技である。

なんとも滑稽なベランダでの闘いである。

隣人はどう対応しているのだろうか?

両隣や向かいには男性の姿はない。

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オトナのケンカ

世の中、幾つ何十になったって、嫌な奴は当然いるさ。

若い時代なら直接表現で分かりやすかったことが、

歳が行くと、その表現方法が変に陰に籠ったり、

遠回しになったり、誰か他人を介したりで、

我ながら鬱陶しいかぎりだ。

さて問題は、それらへの対処方法だ。

いつもながら、僕は(負けたふり、殺られたふり)

で行こうと思っている。

即反応したり、売り言葉に買い言葉では、それこそ大人げない。

寝たふり、死んだふり、消えたふり……

昨今話題のクマさんではないが、冬眠という長期戦も頭にはある。

山中深くわけ入るか、はるか孤島に漕ぎ渡るか……なんて妄想したりする。

負け犬にはなるまい。遠吠えもすまい。

虎視眈々……熟慮断行……と行こう。

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りんどう

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 花といえは、あでやかな大輪よりも、ひっそりと野に咲く可憐な花
それが主人の好みでございました。
 なかでも、りんどうは、その青紫の花弁の初々しさと、清楚なたたずまいを、
ことのほか愛でていたようでございます。
 瀟洒な文庫本に、りんどうの花、主人も、きっと、気に入ってくれることと存じます。

      【吉川文子】(吉川英治の妻)

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吉川英治と言えば、「宮本武蔵」と繋がるが、「真説 宮本武蔵」や、

漫画「バガボンド」を比較すると、圧倒的に吉川氏の方が面白い。

ひとの心の惹き付け度が圧倒的である。言葉を変えれば、小説か

ドキュメンタリー的か漫画か……という話である。それはあたかも

映画やドラマの主人公に魅せられるか、演じた役者のプライバシーに迫るか

角度を変えてアニメ風に見るか……の違いのようなものだ。

そう考えれば、政治も似たようなものだ。表には決して出ない真実と、

脚色されて暴かれるのと、風刺漫画の対象となるのと、似ているではないか。

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背景の記憶(346)

世の中の裏側(側面)

その世界で脚光を浴びる主人公の裏で

その主体を支える人がいる

彼はその世界では有名なボーカリスト

彼女は、彼の妻

僕は地方出身の田舎者そしてプー太郎

そのふたりが英会話教室で出会った

夫は華やかな世界の寵児

僕は名も無きやさぐれ男

華やかな主人とその彼を支える英会話教室の彼女

僕は知らなかった……何もかも……

先生は優しかった……そして厳しかった

優等生揃いの教室の中で、浮きに浮いた存在の僕を

優しく、温かく……掬い上げてくれた

当然の流れのように、プライベートレッスンへと進行していった

いわば僕は根っからの田舎者

彼女から見れば、磨き甲斐のある原石と映ったのかも知れない

僕は自らを知らなさ過ぎた

客観視能力も無かった……子供だったのだ

性の誘惑にも気付かず………

彼女の涙の理由にも気付かず……

でも……それで良かったという結末にも気付かず……

すべては彼女が、オトナだった

でも、今にして思う……

自分の中の宝物は、この己自身なのだと。

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唯一人

言わず語らずの内に、心通うひとにしかわかり得ないことです。

多くの小説家たちがそれぞれの作品の中で書き記してきたように

人の心は複雑極まりない世界です。

小宇宙とでも言える世界でしょう。

いつも言うことですが、僕の中には二人の自分が存在しています。

右と左とまでは言わなくても、対極の自分がいるわけです。

ふたりは闘っています。壮絶すぎるとまで言えます。

それほどに闘っているのです。

厳しい自分 VS 甘い(心広い)自分

激しい自分 VS 穏やかな自分

どっちもが自分なのだろうが、どっちもが自分でないような……

それを客観的視点から言えば、葛藤と言うのだろうが

その一言で片付けて欲しくない自分がいる。

人様の価値観は多様だ。多様過ぎる。

いつも言うことだけれど……

解ってくれる人は……唯一人でいい。

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フィクション

「橋の下を たくさんの水が 流れました」

 (その後いろいろなことがありました)


そういう会話(文通)ができる人は、そう多くは居ない。

あぁ……いろいろあったんだろうなぁ……というイメージが湧きあがる。

久しく…というより、まったく手紙というものを書かなくなった。

あのなんとも言えない手紙の味を、忘れてはいけないと思う。

選りすぎた言葉たちや、洗練されたペンのタッチや……

それぞれにそれぞれの味があり、香りがある。

直接表現でなくても、愛を感じることができるし、伝えることもできる。

「輝ける闇」と言ったのは誰だったか?

何でも見えるが何も見えない……

すべてがわかっていながら、何もわかっていない……

一切が完備しながら、すべてがまやかしのようでもある。

何でもあるが、何にもない。

つくづく思うことがある……

「あんなに人生がわかってしまってはつまらないでしょう……」

「内柔 外剛」~「外柔 内剛」

フィクションの世界に己を預けられる人は、まだ幸せ者と言える。

お決まりのコースとして、大方は「自死」を選択する。

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言葉

「言葉は影であると同時に、実体でもある。」

           【中島 敦】


「言葉は陽炎であり、肉である」


「傑作か駄作は分からないが、人生は作品だ」

           【開高 健】


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さて、僕は何をやっているのでしょう?

徒労、無益、無駄……

言葉の海に溺れかけているのでしようか?

それでなくても金槌で泳げないのに……

究極の趣味は【石】だと言われます。

堅固で、腐らないし、膿も汗も滲まない。
   
いつもそこに同じ質と光沢をおびている。

…………………………………………………………………………………………………

       石

  雨に濡れて。

  独り。

  石がいる。

  億年を蔵して。

  にぶいひかりの。

  もやのなかに。


       【草野心平】

      ※実家の玄関を入ってすぐの壁に、この詩の額が

       掲げられていた。国語教師、そして書道家らしい父独特の
     
       創作文字で。その中に言葉と文字の一体化を感じた僕だった。
 

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無鉄砲

あの無謀とも言える…….青春時代の行動力があったなら

僕には突き進むべき対象事が厳然と存在する。

そこで旬駿するのが、詩人であり小説家であり、極論すれば「男」であり……

大方は世間的な意味でのブレーキを踏み、一時停止し、回れ右をする。

さぁ、己はどうか?

アイマスクをして、信じた道を突っ走る!

現代版……零戦的玉砕!

それぐらいの気概無くして何とする!

心は十代の無鉄砲さに舞い戻る。

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生き方

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現状に安住している人間には魅力を感じない。

同性と言わず、異性と言わず。

要は、引くラインの問題である。

事の重さの比重のかけ具合。

安住の中に生きている人間には、興味は涌かない。

男性であれ、女性であれ。

激しく生きよ!

冒険心を持て!

社会的、世間的な檻の中で、自らの真珠を萎縮させてはいけない。

君は君の花を咲かせ、君は君の実を結ばねばならない。

幾つ何十になったって、行動することに制限は無い。

posted by わたなべあきお | - | -

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