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京都ララバイ

夕やみが迫り来る…薄ぼんやりとした世界のなかで

遠くにポツンと部屋のあかりが見える。

LEDとは違う、昔ながらの乳白色の灯りだ。

家の住人も、きっと優しい人たちなんだろう…と

勝手な印象付けをしてしまう僕でした。

posted by わたなべあきお | - | -

ブックエンド

私の両親は、いわば対になったブックエンドようなものだったと言っていい。

中身がどんなものなのか考えようともせず、必死になって左右から押さえ込み、

表面を取り繕ろうための努力を惜しまない。本が逆さまにならないように、棚から

落ちてしまわないように、彼らは気を配り続けた。そして私は、おかしな言い方に

なるが、そんなブックエンドにはさまれて育った一冊の本だった…。

         
         【小池真理子「恋」】


………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………


状況を引用して、自分に当てはめてみたら、僕は父の書斎の中の膨大な量の本たちの

なかで、引き出されることもなく積み重ねられた本たちの中に挟まれた、一枚の

メモ用紙的存在だったのかも知れない。僕自身が何かに書き残している。

「そこに家は存在していたが、家庭がなかった…」事実、ごく稀に立ち寄っても、

僕自身の部屋というものは存在しなかった。もし、帰ってきた時のために…という

思い遣りも無かったというわけだ。

posted by わたなべあきお | - | -

かさぶた


   僕がかさぶたになりましょう

   あなたにとってまだ外の空気は危険です

   だから…僕がかさぶたになりましょう

   無理やり剥がされたって

   またきっちり覆ってあげますよ

   だから…もう少し…おやすみしなさい

   もう少しの辛抱です

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(337)

♪名前も知らない あなたと私
 なのに不思議ね 胸がときめく
 恋はこうして 生まれるものなのね
 教えてほしい あなたのすべてを
 今宵ひとりで歌う あなたへの歌
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カラオケ🎤🎶がブームの頃

あるスナックでよく逢う女性がいた

名前も知らないし、グループも違ったのだが

歌う歌の傾向が似ていた

僕の歌に一際拍手を送ってくれた人だった

その店が閉店時間となって、タクシーを呼んでもらったら

ママが「なべちゃん、一軒付き合って」と言った

そしたらその彼女も乗り込んできた

ママは何を考えたのか?何を企んだのか?

僕には理解不能だった

行き先は店を終えたママたちがよく行く店らしく

深夜だというのに大流行だった

鈍感な僕は、ママたちの企みを理解するのには

かなりの時間を要したのだった

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(336)

     ♪青い青い 月の下で
      君に告げた 愛の言葉
      好きと云われ 好きと云った
      あれは夢か 遠い夢か

      青い青い 月の下で
      君は誰と いまは暮らす
      僕にもどれ 君よもどれ
      みんな夢か 遠い夢か

………………………………………………………………………

湖の干拓地、区画整理が施され、道路や跨線橋か出来た
 
車も通らず人も通らない、街灯だけがあかあかと点っていた

暗闇を作る跨線橋の下が、僕たちの逢瀬の場所だった

許されたわずか十分足らずの逢い引き 

鮮やかに甦るはるか遠い昔の青春

posted by わたなべあきお | - | -

木霊

「母性愛欠乏症」と自虐的な自己診断による病名をつけた僕ではあったが、

それは一方で、僕なりの甘えの構造であり、僕なりの殻破り方策でもあった。

方策化された異性への繋がりに、堪らなく嫌気がさして、孤独の貝殻に閉じ籠った

数年間もあった。また一方で、男ばかりの土方的仕事に没入して、生身の男磨き?を

試みた時期もあった。

それらの混合体験が今の自分を形成したのかも知れない。

その時には自覚できていなくても、後から省みれば、それこそが男磨きであり、

人間形成だったのだと思う。そしてまたしても出逢った人たちすべてが残した

「どうしてそんなに苦しい方へ、苦しい方へ行くの?」の言葉が心の中に木霊する。

posted by わたなべあきお | - | -

死の意味

「近しい人の死の意味は、残った人がしあわせに生きる以外、何もない。」

人の死は、残った人に、ひとりで生きることを教えてくれる。

それを通過すると、その人は少しだけ強くなり、以前よりも美しくなっているはずだ。


       【伊集院 静】

posted by わたなべあきお | - | -

ダブルパンチ

時を得て、草花が一斉に芽を出し、花を咲かす。

それを助けるかのように、適度な時期に適度な雨が降る。

自然とはそういうものだろう。

しかし、東北では極度の小雨と乾燥で、山火事が広がっている。

地震とのダブルパンチで、海岸からも山からも追いやられる。

逃げ場の無いダブルパンチだ。

災害列島~日本と言われて久しいが、これがこの国の宿命が。

大きく捉えれば、地球は刻々生きている。

地球の呼吸、地球のくしゃみ、地球の涙、地球の屈伸……

人間は蟻んこよりも儚い存在だ。巣は焼かれ蹴散らされ押し流される。

それでも彼らがまた巣作りを始めるように、人間もまたコツコツと

再建の道を歩む。宿命の中の葛藤と再生。

posted by わたなべあきお | - | -

ちぎれ雲

     ♪ちぎれたあの雲
      見るたびに思うよ
      君と僕と摘んだ
      小さなすみれの花
      愛らしいえくぼと
      白いすみれの花
      胸に焼きついてる
      過ぎた日の思い出よ

      ちぎれたあの雲
      飛んでゆくその日は
      君の澄んだ瞳
      長くて黒い睫
      思いだし一人で
      丘の道を登り
      雲に向かい叫ぶ
      君だけが好きだよと

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修学旅行のバスの中で歌った
 引っ込み思案の僕のことだったらから
 少なからず驚きの声があがった
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 こんな習性?は、大人になってからも変わらない
 カラオケのマイクを通してしか
 心を打ち明けることができない僕だった
 それは…「青春時代」「逢わずに愛して」
 「時代おくれ」「浪花恋しぐれ」
 「悲しみは雪のように」「逢うたびに君は」 
 「そっとおやすみ」etc.
      

posted by わたなべあきお | - | -

形見

たいていのことは我慢してきた。

わがままを言ったり、利己的になったり、

人を傷つけたり、感情の起伏を人に見せたり、

いたずらに逆らったりせず、

できるだけにこやかに、温厚に、

他者とぶつからないように生きてきた。

それがおかれた立場の最善の処世術であるかのように。

自意識が芽生えたころには、継母がそばにいた。

しかし僕の心の中までは、決して入ってはこなかった。

裏を返せば、僕は幼くして鎧を身につけていたことになる。

それは自らが身につけたわけではなく、

実母が形見のように着せかけたものだっのだ。

posted by わたなべあきお | - | -

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