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        【京都 加茂川】

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背景の記憶(341)

わが家に続く坂道で

両腕をいっぱいに広げて

ヨチヨチ歩きのおまえを待つ母の姿は

すぐ傍で見ていて

羨ましいほどに…悔しいほどに…

慈愛に満ち溢れていた

俺もそうされたにちがいないのに

なぜか…おまえが羨ましかった

         (十歳上の兄からの手紙)

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背景の記憶(340)

フランス文学の大学教授になった君を

近所に住むN君が…「あんなフランスかぶれ」と

言い放ったのには、

何か特別な理由があったのだろうか?

そう考えてみれば、

僕にも似たような経験があったような…

同じ合唱団の中で、

彼が「鎌倉」の独唱のチャンスをもらった時の

僕の心

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言い聞かせ

論より証拠

講釈より実行

無言の圧力

僕の言わんとしていることが分かりますか?

口先だけなら、誰でも、何でも、言えるということです

これは、自身への言い聞かせでもあるのです

何の世界でも、分野でも…

指導的立場の人は大変ですね

お察しします

そこで手を挙げたら…そこで物を投げつけたら…

あなたの負けです

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自爆

     自爆


  自爆する

  自死ではありません

  何が吹き飛ぶが分かりません

  断わっておきます

  影響部は己自身止まりです

  僕自身の内奥爆発です

  そして…また…

破片集めを始めるのでしょう

  終わりのない
  
  囚人のような作業です

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悲しい時には

    悲しい時には

 悲しい時には
 台所で
 玉ネギを切って ごまかした人

 うれしい時には
 庭に出て
 体操をして ごまかした人

 そのごまかしの
 なつかしさ

 わたしも台所に行って
 玉ネギをまな板にのせましょうか

      【サトウハチロー】



  
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父は国語の教師だった

書道家だった

俳人だった

そして何より

詩人だった

躾らしい躾は受けた記憶がない

みんな文章化されたものだった

◯返事はハイッ!と元気よく
◯挨拶は人より先に
◯履き物を揃える

新聞紙を丸めて「面! スキあり!」とやられた

カナヅチを直そうと、海に放り投げられた

小学校の夏休みの日記帳に…
    飛行機が白い煙を吐いて
    みごとに空を真っ二つに割った…
と書いたら、「日記はその日にしたことを書きなさい」と赤ペンで
書かれていた。「だけど、これはイイ」とも。

父は妻(亡母)に恋をしていた…
永遠の恋をしていた…
だから、母が亡くなった時は、男泣きに泣いたらしい。
僕はまだ三才になった明くる日のことだから、何も知らない。
何も覚えていない。
(心の空洞)とは、このことを言うのだろう。
ぽっかりと無色透明の穴が僕の心を支配している。
その穴に色づけを試み、代替を求めたが、何一つ成就しなかった。
仮の宿…仮の部屋…仮の空間…
そして自ずと天空へと眼差しは移ろいゆく。

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