それは6年前。私が初めて候補者というものになった時のこと。
朝の駅頭には複数の政党の人たちが立っていた。たくさんの通勤客が行き交う
中に毎回通る外国の方がいた。肌の色は黒。何ヶ月かすると、私はその男性と
仲良くなっていた。忙しい朝だけど、必ず短くても話をしてくれる。「僕は
建設工事現場で働いている。体はキツイけど、仕事はたくさんある」と。
日本語はペラペラだ。不思議なことに、他の候補者は彼に挨拶もしなければ
チラシすら渡さない。外国人は票にならないと思っているのか、無意識に
スルーするのか、それはわからない。
選挙本番になった朝、彼が私に言った。「僕の家族は日本人の妻や子供を
入れて6人。全員選挙権を持っている。僕以外は投票できる。紫野さんに
入れるよう頼んで、みんなOKとなったからね、5人入れるよ、だから
勝って!」涙が出た。そして結果が出た翌朝、「良かった!みんなで応援
してたんだよ!」と大喜びしてハグしてくれた。何がきっかけになるか
わからない。けれど、人と人とは繋がり合える。選挙権があってもなくても、
そんなの関係ない。この国はたくさんの人間がいて成り立っているのだ。
選挙の度に思い出すエピソードだ。
三鷹市市議会議員 紫野あすか