賑やかな街中の一角の大学の裏側に
小さな子供向けの公園があった
クラブ後のほんの10分間
僕たちはそこで話をするのが常だつた
微妙な明るさ…暗さ…
その雰囲気が好きだつた
指と指を絡めあうだけ…
掌に字にならない字をなぞる
「なに?」の想いで目を見ると
声に出さないで「好き」と唇が動いた
それから先の先なんて考えられない
おぼこい青春の一ページ
クラブの帰り道
僕はちょっとしたイタズラを思いついた
いつもは二人ならんで帰るのだが
先に出た僕は角を曲がった所で、マンションの陰に隠れた
自転車の彼女はいつもの僕がいないので
なんと猛烈な勢いで自転車をこぎ始めた
僕はそのスピードにびっくりして
次の交差点で車にでもぶつかったら大変と
走って彼女を追い始めた
彼女は大通りの手前で自転車を止めて
しきりに左右を確認していた
安心した僕は、忍び足で彼女に近づき
肩をポンと叩いた
振り向いた彼女の顔は
安心とちょっと怒ったような
複雑な表情て僕を睨み付けた
そして「もぉ~!」と言いながら
僕のおでこをつついた
謝りのつもりで、僕は彼女の自転車を押して
別れの曲がり角までゆっくり歩いた
彼女の想いの確信が、僕の胸の中で踊った
わずか数分間の愛のたわむれ