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灯火

僕は25才までで、人生の八割方を生きたように思う。

あくまでも、その密度において…という話だが。

それは(人の死)であり、(別離)であり、(師弟)(男女の仲)であり…

それ以降が無意味と言っているわけではない。

惰性とも、仕方なくとも言っているわけではない。

ただ魂の磨り減らしという点で言えば…そういうことになる。

僕は、かなり早々と蝋燭の火を燃やし切ってしまったようだ。

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(338)

黒の中の真っ黒を意識したのは二十歳の頃だったか。

それは僕の安アパートに潜り込んできたアキラ君のイメージだった。

なにせ着ているものは、上から下まで黒づくめの彼だった。

それに加えてほとんど言葉を発せず、唯一「チッ」と言うのが彼の癖だった。

ショートホープと使い込んだジッポのライターが自慢だった。

セブンスターでもハイライトでもないところが彼のこだわりだった。

ローリングストーンズのミックジャガーを好み、ヘアスタイルも酷似させていた。

器用に裁縫ができ、ジーパンを自分好みに加工していた。反対に僕は…

彼の対極にいて、どこにでもころがっている名もなき石ころみたいなものだった。

当時の拙い詩集の中に「黒い宿り木」という詩がある。

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      黒い宿り木

   きみはどこでどう 俺を見間違えたのだ
   もう5年も 光を拒否し
   暗闇の中に 溶け込んでしまおうかという俺なのに
   この真っ暗やみでも きみは 俺が見えるというのかい
   ほんとうに へばりついてきた
   共倒れだぜ この野郎…

   死滅したはずの過去が 巨大な水滴となって
   砂漠と化していた 俺の瞳を濡らした
   ただの黒と思っていたのに その中に
   俺は 強い 生きた黒を 見た
   澱んでいた色彩が 黒いメロディーを 奏で
   やがて 混沌の心臓そのもののように
   きょうれつなビートで 枹が おどりだした  

   慈愛に 充ちあふれた 無知なる男
   回生の魔力をもった 神業師くん
   きみは 黒い宿り木よ


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手紙

絵画も小説もそうだが、

創造の肝心は表面に見えるものではなく、

一行の文章に、作者の生きる姿勢、

なぜそれを描(書)かねばならなかったかが、

あらわれてくるものだと私は考えている。

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便利なものには毒がある。

手間がかかるものには良薬が隠れている。


          【伊集院 静】

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メールてはなく、手紙を書こう…

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