あたかも 過去の誰かさんになぞらえて 僕が語っていることを あなたは 知らない もちろん 知らないままの方がいいのだけれど そうなったら そうなったで 淋しいわけで…… 三流以下の詩人としては そこがまた ふさわしいわけで…… これを 世の中の皮肉と言うのです
♪ 涙を流す若い二人に さすらい人のこもり唄を おさない頃にささやいた あの海もあの星も もう歌わない 今はもう歌わない 夜が明けたら また旅に出る ふるさとのあの丘に もう帰れない 今はもう帰れない
詩人が、小説家が、狂人と紙一重というのは、たしかにそうで…… そうでなくては、あんな詩も書けないわけで…… 逆説的に言えば、僕は至極凡人であるわけで…… 彼が狂人なのか?世の中が狂っているのか? それはどちらでもない。 判断の軸は、人それぞれに違うからに過ぎない。 軸が動けば、評価も動く。 本物の詩人は、その評価さえも眼中にはない、胸中にもない。 僕も、その端くれのまた端くれとして…… さすらいびとの子守唄を歌おう。
【ゲーテ】 ……………………………………………………………………………………………………………………………… 僕はシェラフの中で眠った。 布団というものを望んだことはなかった。 春、夏は畳の上でさえ天国だった。 秋、冬は寝袋が夢を誘った。 若かればこその、なんとも荒々しい逢瀬…。 心と物とが逆転した青春の彷徨…。 あれほどに物欲を抱かなかった頃はなかった。
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