港の雨に濡れてる夜は
想い出すんだ白い顔
二人で歩いたあの坂道も
霧に霞んで哭いている・・・
もうあの潮の香りが思い出せない
もうあの満天の星空が思い出せない
この半都会の匂いに、色に、染まり切ってしまったか・・・
唐突に
遥か離島を旅する夢を見る
そしてその沖合の青い、青い大海原に
この身を投げ出す夢を見る
それこそが我が故郷に帰ると言うものだ
母の懐に抱かれると言うものだ
大海原の向こうからか、大空の彼方からか知らないけれど
僕を迎えに来るような予兆を察知した時
僕は何を叫ぶのだろう?
自分で言うのも可笑しいが・・・
それこそが「魂の叫び」ではなかろうか
そのギリギリの瞬間
何とも女々しい独り言かも知れない
そしてまた・・・
有りっ丈の強がりの言葉かもしれない
「僕」という言葉は使わず
「俺」はまさしくこの「俺」だと叫ぶかもしれない
足掻きではない
心深くに潜んでいる「自身」の叫びなのだ
あたかも・・・もう夢の芝居は終わったぜ
とでも言うように・・・