黒の中の真っ黒を意識したのは二十歳の頃だったか。
それは僕の安アパートに潜り込んできたアキラ君のイメージだった。
なにせ着ているものは、上から下まで黒づくめの彼だった。
それに加えてほとんど言葉を発せず、唯一「チッ」と言うのが彼の癖だった。
ショートホープと使い込んだジッポのライターが自慢だった。
セブンスターでもハイライトでもないところが彼のこだわりだった。
ローリングストーンズのミックジャガーを好み、ヘアスタイルも酷似させていた。
器用に裁縫ができ、ジーパンを自分好みに加工していた。反対に僕は…
彼の対極にいて、どこにでもころがっている名もなき石ころみたいなものだった。
当時の拙い詩集の中に「黒い宿り木」という詩がある。
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黒い宿り木
きみはどこでどう 俺を見間違えたのだ
もう5年も 光を拒否し
暗闇の中に 溶け込んでしまおうかという俺なのに
この真っ暗やみでも きみは 俺が見えるというのかい
ほんとうに へばりついてきた
共倒れだぜ この野郎…
死滅したはずの過去が 巨大な水滴となって
砂漠と化していた 俺の瞳を濡らした
ただの黒と思っていたのに その中に
俺は 強い 生きた黒を 見た
澱んでいた色彩が 黒いメロディーを 奏で
やがて 混沌の心臓そのもののように
きょうれつなビートで 枹が おどりだした
慈愛に 充ちあふれた 無知なる男
回生の魔力をもった 神業師くん
きみは 黒い宿り木よ

表面上は言葉丁寧だが、その裏に棘がある。
そう言われても仕方のない立場は自覚してはいるが、腹の虫はおさまらない。
人生は流離い、まさにそうだ。
僕自身に刃を向けたとしても、対象物として存在しないことに苛立ちを
覚えることだろう。それは僕の作戦でもなければ誤魔化しでもない。
あなた方が対象とする人間(僕)は、実は空気のようなものなのです。
本物の僕自身は、斜め四十五度の上空から凝視しています。
ちょっと目線を上げれば確認できる存在です。しかし・・・
残念ながらそうして見上げても、確認は不可能でしょう。
別に何とかの術を使っているわけではありません。
四次元の世界とは・・・そういうことです。
僕がまだ二十歳すぎのころ…
ある親世代のひとの質問に答えた記憶がある。
「信じていたひとに裏切られた…あんな人とは思わなかった…」
その言葉に僕は…
「こうして見る満月は、とても綺麗で神々しささえ覚えるけれど、
超拡大望遠鏡で見る月は、ゴツゴツとした粗肌で、美しさの欠片もない。
人間も同じじゃないですか?」
よくもあんなことが言えたものだと今更ながら恐縮する自分がいる。
頭でっかちな学者ぶった若僧だった。
しかし、しかし、…
あの言葉を口に出来たのは、もうあの二十歳すぎの時、僕は、
世の中の…人の心の…何たるかを達観していたのかも知れない。
叔父の言葉~「おまえは世捨て人みたいな奴やな」が甦る。

かりそめの賑わいの中で、己を満足させているのなら
それはまさに憐れむべき存在であって、賞賛に値しない。
謂わば、お世辞と誘惑の世界のなかで、踊らされているようなものだ。
よく言えば【知能犯】と言える輩は、そもそもどんな人生観を抱いているのだろう?
何十年が知らないが、どんな人生を歩んで来たのだろう?
凶器で人を殺め、傷つけることよりはマシなこととでも思っているのだろうか?
先ずは何よりも接点を塞ぐことだな。
フォローの数字に踊らされないことだな。
コメント欄さえもコマーシャル的に悪用されるに至っては、意に反してブロック
するしか手立てがない。