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ピエロ

成長のための試練とか

心の肥やしとか言うけれど

それはうんと後から言えることで

その時の・・・

当事者の僕には

悲しみと絶望しか無かったさ

そこから根付いたピエロ性は

生きるための最小限の鎧だったのかも知れない


♪俺を見捨てた女を
 恨んで生きるより
 幼い心に秘めた
 むなしい涙の捨て場所を
 探してみたい
 遠くで汽笛を聞きながら
 何もいいことがなかったこの街で


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甘えの構造

あれは僕が二十歳の頃だったろうか。

父が一冊の本を手渡した。

土居健郎著の「甘えの構造」

父は何を言いたかったのだろう?

何を伝えたかったのだろう?

己の懴悔か?子への忠告か?

詰まるところ、いわゆる「甘え」とは

現実的にまた必然的に縁切りさせられたが

父もそして僕もが内在的に持っている本質的な「甘え」とは、

一生付き合わされる羽目に陥った。

それは親子の遺伝的とも言える部分であり、そして

宿命的とも言える心の・・・魂の・・・問題なのかもしれない。



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文明の利器

文明の利器たる携帯電話も、今やしごく当然の日用品となり、ボールペンや

ハンカチ等と同じように、無造作にカバンやポケットの中にある。

着信音であれ、バイブであれ、それらさえもが日常化して、今日のこの日を

仕切っている。

僕は突然カベに向って投げつけたい衝動に駆られる。

まるで・・・

時を止めてしまいたい!・・・とでも言うように。


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窓

便りを待って

窓べに立つけど

山ばかり

青い稜線の

山ばかり

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己

しっかりと

じっくりと

自分と向き合う

自分に語りかけ

自分と論を戦わす

出てきた・・・

煮詰まった・・・

その答えに

僕は従う

それこそが「己」だから

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磁力

友として

共通項に思いあたる

ふと・・・

寂しげな表情を見せる

ほんの一瞬

僕にはわかる

その因が何なのか

あなたがS極なのかN極なのか

僕がどうなのか

それはどうだっていい

とにかく

引き寄せ合う何かがある

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ゼロ

負け犬の遠吠えと

言い放ったのはアナタではあるが

何に負けたというのでしょうか

この落伍者めと

蔑んだのもアナタではあるが

何から落ちたというのでしょうか


土俵がちがう

生き場所がちがう


僕は音量をゼロにする

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伝達

疲れ果てていることは

だれにも隠せはしないだろう

ふらふらとたどり着いた館の門番が

無表情に立っている

その主に声をかけようとしても

喉の奥に引っかかって

音化することすらできない

無声映画のように

パントマイムのように

試みてはみたが

ど素人に言葉は宿らない



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涙の河

みんなそれぞれにバックボーンがあって

それに支えられて生きている

それが色褪せた時、消え失せてしまった時

営々として積み上げた城は崩れ落ちてしまうのだ

涙の川はひたすらに流れ行くが

そこに浮かぶハンケチを繋ぎ止めるべき葦は

いかにもか細い

笹舟に乗って仰向けになり

あの吸い込まれるような青空を眺めたのは

何時のことだったろう?

大波よ来い!と自虐的に叫んだのは

魂の叫びだったのかも知れない

夕暮れ時は寂しそう…

その赤い夕日におーいと叫ぶ元気は

もう今の僕にはない

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妻

住居におれば女になる

家に帰れば嫁になる

里に還れば娘になる

そうして

人気のない夜道の樹の下では

胸にすがってくる恋人になる

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