遠い昔の想い出
彼女は明るく快活だった
彼女の笑顔は廻りをパッとまぶしく変えた
彼女の声は少し甲高く少女の響きがあった
僕はいつも遠くで見ていた
でも僕はその彼女の太陽を充分すぎるほどに浴びて
いつも伸びやかな気分にひたっていた
近寄らなくても・・・話さなくても・・・
光の届く範囲にいるだけで僕は満足だった
ある時 偶然二人だけの空間が生まれた
その瞬間に見せた 彼女の仕草 彼女の心の翳り
瞳の奥の涙・・・そして
「わたし、一生懸命努力したのよ・・・明るく!元気で!」
それ以上は聞かなくても想像は出来た
それくらいの経験はイヤというほどに持ち合わせていた
僕の存在で彼女の心の空洞を すこしでも
埋めてあげられたらなあ と素直に思った
ほんの瞬間の一面を 僕に見せて
彼女はまたいつもの明るい快活な彼女に戻っていた
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