船の別れは寂しすぎる
殊更にテープの役割が物悲しい
五本も十本も持った人とは離れて
僕は船の尻の方へ移動した
一本のテープの先のひとりの人
まるで永遠の別れでもあるかのように
悲しい顔をしている
目元までは確認できないが泣き顔には間違いない
切れないように注意して
僕はテープの弛みを無くして
きゅっきゅっと引っ張ってみる
同じ反応が伝わってくる
何の言葉を乗せたのやら・・・
同じ想いとの確信を持って
僕は両手を頭の上で思いっきり振る
テープは切れても心の糸は切れはしない
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