<< 2025/02 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 >>

子守唄

空は抜けるように青く澄みきっている。

しかし、風は冷たく肌を刺す。

ジェット機が雲を引かずに、音だけを残して飛び去って行く。

たしかにあの雲の流れでは…と不確かな自説に納得してみせる。

ふとあの貿易センタービルの画面が蘇る。

突っ込むジェット機、立ち上る白煙…まるで無声映画のようなあの場面。

現場と傍観の冷酷極まりないコントラスト。

似たような事象が世界のあちこちで起きているというのに、なんと非情な客観視だ

ろう。

その意味においては、日本は平和であろう。しかし、惨禍のなかで見る彼らの夢や

希望には、僕らのそれはこれっぽっちも及はないはずだ。

どっちが人間的と言えるのか。どっちがまさに生きていると言えるのか。

詩的な感覚が政治的なきな臭さにおきかわり、戦場の子供たちの瞳に呼応して、

胸の中で流離い人の子守唄が流れる。


25.2.4-1.jpg

posted by わたなべあきお | comments (0) | trackbacks (0)

▲page top