「楽は苦の種、苦は楽の種」という言葉がある。
今している苦労は、将来の楽や幸せにつながるが、反対に今、楽をしていれば、
将来苦労することになるということ。
人生とは不思議なもので、若い頃死にたいくらい嫌だと思ったことや、落胆したこと、悲しかったことなども、年を重ねた後で考えると、「だから良かった」「そのお陰で今の自分がある」というようなことは多くある。
本当は苦の中に幸せの種が撒かれているのだが、それに気づかず、文句や不平を言ってしまうと、その種には芽が出ない。苦にあっても、その中でいいことを見つけ、それに感謝する人にだけ、芽が出て幸せの花が咲く。
すべての苦労は、自分を磨いてくれる磨き砂。「だから良かった」と全てのことに感謝できる人でありたい。
曽野綾子