空は抜けるように青く澄みきっている。
しかし、風は冷たく肌を刺す。
ジェット機が雲を引かずに、音だけを残して飛び去って行く。
たしかにあの雲の流れでは…と不確かな自説に納得してみせる。
ふとあの貿易センタービルの画面が蘇る。
突っ込むジェット機、立ち上る白煙…まるで無声映画のようなあの場面。
現場と傍観の冷酷極まりないコントラスト。
似たような事象が世界のあちこちで起きているというのに、なんと非情な客観視だ
ろう。
その意味においては、日本は平和であろう。しかし、惨禍のなかで見る彼らの夢や
希望には、僕らのそれはこれっぽっちも及はないはずだ。
どっちが人間的と言えるのか。どっちがまさに生きていると言えるのか。
詩的な感覚が政治的なきな臭さにおきかわり、戦場の子供たちの瞳に呼応して、
胸の中で流離い人の子守唄が流れる。
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