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別 離

別離は、一つの喪失であるが

再生への一歩でもある

別離は、悲しみの泪を伴うが

次なる歓びへの潤滑油でもある


誰を恨むことがあろう

誰を批判することがあろう

再出発と成長と飛躍への

貴重なかけがえのない存在ではないか

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背景の記憶(298)

離島〜隠岐の島の港湾建設に従事していた僕に、一枚の暑中見舞いの葉書が届い

た。印刷された定例文の横に、県名と見覚えのない姓だけが、流れるような達筆で

書かれていた。もちろんその字体だけで誰からのものかは理解したのだが、更にダ

メ押しのように「結婚しました」の一行が添えられていた。

その事ごとの一つ一つが、彼女らしい心遣いであるのは。痛いほどわかったのだ

が、それがまた余計に僕の心を締め付けた。とっくに諦めて覚悟していたはずの

事柄であったのに、図らずも涙が溢れて、頬を伝った。

その傷心を癒すための、そして全てを忘れるための一大プランであったはずなの

に、誰が彼女に住所を知らせたのだろう?思い当たるのは数人しかいないのだが

それを突き止めたところで、その人に罪はない。

僕にとっては、酷な結末と言えるが、アンコールの無い最終幕が降ろされた瞬間

だった。


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冥の照覧

『大方は 人めつゝしむばかりにて

          冥の照覧 おもはざりけり』


   「行者、仏を忘るれば

            仏、行者を忘れる」

        
                 開導 日扇聖人

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