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さむらいの道

「なるほど武士は刀法をまなぶ、弓、槍、銃、馬術など、身にかなうかぎり武芸を

稽古する、それはたしなみとして欠くべからざるものだから、けれどもそういう

武芸を身につけたからといって少しも武士の証しではない、さむらいの道の神髄は

それとはまったく違うところにあるのだ」


                ☆


「・・・さむらいとは『おのれ』を棄てたものだ」


                ☆


「生死ともに自分というものはない、常住坐臥、その覚悟を事実の上に生かして

ゆくのがさむらいの道だ・・・」


                ☆


「おまえは我流ながら刀法をよく遣う、しかし人間がけんめいになってやれば、

刀法に限らずたいていなわざは人並みにできるものだ、しかしわざはどこまでもわ

ざに過ぎない、心のともなわぬわざは注意が外れた刹那に身からはなれるだろう」


                ☆

「心がその道に達していれば意識せずとも肉体は必要な方向へ動く、剣をとろうと

鍬をとろうと、求める道の極意はその一点よりほかにはないのだ」



                山本周五郎 「壺」

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posted by わたなべあきお | - | -

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