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背景の記憶(315)

     兄

 僕は六人兄弟の末っ子だったのだが、そのうち三人が幼くして亡くなっている

ので残されたのは兄(九つ違い)と姉(五つ違い)と末っ子の僕の三人だった。

母が亡くなった時、兄は中学生だったので、そのショックは想像を超えたものであ

っただろう。

 親の死が子供の精神に多大な影響を及ぼすことは理解できるが、その核心の部分

は当事者でなければ分からない。その計り知れない負荷が兄の精神に覆いかぶさ

り、兄は大学生の時とその数年後にもう一回、大量の服薬による自殺未遂事件を起

こしている。

 小学生だった僕は、兄の夜と昼が逆転したような日常に、ある種の怖れを抱いて

いた。本人にしてみれば、長い長いトンネルだったに違いない。大学病院での治療

も効果なく、半ば周囲から諦められたとき、兄は祖父母の住んでいた生まれ故郷で

ある隠岐の島に帰り、叔父がやっていた回漕店の仕事を手伝うことになった。今思

えば、その過酷とも言える肉体労働が、精神に大きな好影響をもたらしたようだ。

数年で兄は快癒し、やがて母方の親戚の世話で神奈川県へ移住した。

 今思えばの話だが、僕にも兄と類似した体験がある。高校の時の登校拒否であっ

たり、進学校でありながら大学受験を拒否し、父の入信した宗教であったとはい

え、そこの専従職員(宣教師)になったりと、親、親戚からすれば、「またこの子

もか・・・」」と思われたに違いない。

 幸い、死を選ぶことはなかったが、還暦の同窓会の時、当時の彼女から「オウム

の事件の時、絶対ワタナベ君がいると思った」と言われたのには驚いた。当時の

僕はそれほどまでに精神的異常を露呈していたのだろう。学年でトップ50のクラ

スに在籍していながら、受験しなかったのだから・・・。クラスメート八人が東大

に受かったと聞いたのは、何年か経ってからのことだった。僕は広島の地で、骨皮

筋衛門?でオロオロと歩きまわっていたのだ。

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背景の記憶(314)

    夜逃げ

YouCubeで「夜逃げ屋本舗」という映画を観た。中村雅俊と大竹しのぶが出ていた。

「夜逃げ」と聞いて思い出すことがある。

あれは・・・二十歳前のころ、宣教師の卵として、広島市の原爆ドームの近くに

アパート一間をあてがわれ、開拓布教なるものに投げ出された。まさに一文無し、

水道の水だけが命の綱?だった。それでなくても細身の体が、どんどんやせ細って

行った。一月ほど経ったある日、ある家族との出会いがあり、初の成功事例に辿り

つけたかという感じだった。

しかし急転直下、何回か目の訪問の日、奥さんから想像もしないことを頼まれた。

「わたなべ君、クルマの運転できるでしょ?今晩頼める?」何のことか理解できず

にいると、どんどんと部屋の片づけが始まり、引っ越し???そういうことかと

理解して、荷造りを手伝うことになってしまった。しかしなんとまた急に?と

怪訝な顔をした僕に、奥さんから、ご主人の事業が失敗して夜逃げをしなければな

らなくなったと告げられた。まだ幼稚園くらいの男の子もいた。

 まさに文字通り「夜逃げ」・・・暗くなるのを待って、必要最小限の荷物を載せ

て、言われるがまま車を走らせた。10キロくらい走っただろうか、目的の民家に

到着して、その晩は電気こたつに足を突っ込んで四人で雑魚寝した。

 事が事だけに、僕は何も言えなかった。暗闇の中で天井を見つめる奥さんの瞳に

光るものがあった・・・。

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優しい人

○あしたのために 生きるのではない

 今日を生きてこそ あしたが来る


○本当に優しい人とは

 耳の痛いことも言ってくれる人

 ただ優しい人と思われたい人は

 調子のいいことだけを言ってくる人

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ロック

ロックは始めることで、
ロールは続けることよ。

ロックは文句をたれることで、
ロールは自分のたれた文句に
責任をとることよ。

ロックは目の前の壁を壊すことで、
ロールは向かい風に立ち向かうことなんよ。

   重松 清 「せんせい」

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一流

三流は後回しにして

二流は明日やろうとし

一流は今すぐやる

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賢人

賢い人ほど聞き上手

求められていない事は話さない

必要な時に必要な事を話す

「何を話すか」が知性で

「何を話さないか」が品性です

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ひとりひそかに

     ひとりひそかに

   深海の真珠のように

   ひとり ひそかに

   じぶんを つくってゆこう

          
           坂村真民


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何も言わない


やさしい人ほど何も言わない

  本当はイヤでも何も言わない

    去っていく時も何も言わない



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キャッチコピー

具体的な商品やなんかのキャッチコピーとまでも行かなくても

ごく短いフレーズで「上手いこというなあ・・・」と

感心させられる時がある

短歌や俳句の世界は別格として

自分でも何かオリジナルなものはできないかな?

本の宣伝文句なんかもそれに近い感じがする

つい、買って読んでみたくなるような・・・

これは日ごろの鍛錬だろうな

堅ぐるしくなく意識することなんだろな


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無言

内面から湧き上がる人間性に、人の心は動く、動かされる

喋らなければどうにもならないはずのテレビで、無言を貫いたタモリ氏に乾杯!

時に・・・

「無言」はものすごい力を発揮する

キュッと結んだその唇に、底知れぬ力を感じる

真正面を向いたその眼力に、恐怖すら覚える

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