鮮やかな満開の花火の後の暗闇の中に
あなたが手を振る姿を見たのは
幻だったのでしょうか
辛く悲しい別離を経験しても
今はただ懐かしく穏やかなのは
すべてあなたの優しさのお陰でしょうか
湖畔の防波堤に並んで腰かけて
見上げた花火の鮮やかさ
嫁が島の伝説は
僕たち二人には無縁だったのでしょうか
千年の恋ならずとも
せめて半世紀の恋よやって来い
時代は巡る
飛び散る花火は
僕の心の代弁者か
末端の一筋の火の線よ
彼女に届けてはくれないか
僕の心の叫びを
振り向けば寂しい
君の住むふるさと
この道はいつの日にか
希望につながる
東の空に陽が昇るまで
とても とても
とても遠い旅さ
暗闇の彼方に
口笛が流れる
この道はいつな日にか
希望に繋がる
うだるような暑さの池の葉陰で
低音の蛙の鳴き声が響く
勝手な通訳を試みよう
「おまえは何を考えているんだい?」
僕は答えてやるさ
「君と同じことを考えているのさ」
鳴き止んだ静寂に
己の愚かさを恥じた
「わ~!」とでも叫べば良かった
そのための静寂の方が
スッキリしたはずだ
体験は素晴らしい
想像をはるかに越える
あの満天の星空
あの遥かな水平線
あの静寂の跨線橋の下
独りではこれ程まで鮮やかには甦らない
あなたと僕
若々しさの鮮烈な色香
思い出しておくれ
僕の顔 僕の声
僕はいつも思い出す
あなたの顔 あなたの声
ただ 気がかりが一つ
僕と気づいてくれるかな
あなたを見つけられるかな
もう半世紀も経っちゃったよ