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わすれもの

幼すぎて言えなかった

亡母への「生んでくれてありがとう」

痴呆で伝わらなくなってしまった

親父への「いつも見守ってくれてありがとう」

気恥ずかしくて言えずじまい

兄貴への「誰よりも認めてくれてありがとう」


どうしていいのかわからなかったにちがいない

継母への「素直でなくてごめんなさい」

兄らしいこと何にもできちゃいない

義弟への「至らぬ兄貴でごめんなさい」

いちばん苦労したんだろうに

姉への「楽させられなくてごめんなさい」


あっちへもこっちへも

おおきなおおきなわすれもの

今からでも遅くないのかな

とどけ とどけ

時空を超えて

posted by わたなべあきお | - | -

背景の記憶(127)

京都へ出てきて夜学へ通いながら、昼間はD百貨店のバイトで

従業員や荷物用の手動式エレベーターの運転(?)をしていたころ

店の向かいに僕たちバイト仲間の溜まり場の喫茶店があった。

狭い階段を上がって行くちょっと薄暗い店で、おそらくは夜のスナック

がメインと思われる雰囲気だった。ママは厚化粧だったけど優しくて

コーヒー一杯で1時間以上もねばる僕らに、いやな顔ひとつしなかった。

片隅に今は懐かしいジュークボックスが置いてあって、ほとんどの連中が

ローリングストーンズやディープパープルといったあちらものにハマっていた。

そんな時だったんだなぁ・・・

拓郎の「結婚しようよ」が流れたのは・・・

鮮烈だった。

みんな何度も何度も繰り返し聴き惚れた。

それまでの重苦しい感じのフォークに、パッと光が射したような衝撃を受けた。拓郎-3.jpeg

posted by わたなべあきお | - | -

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