親子だから・・・似ているのかも知れない。
あれは、父が今の僕くらいの年齢のころだったのかな。
父は和室の柱にもたれて、両膝を抱え顔を埋めていた。
何か悩み事でもあったのか、得意の俳句でもひねっていたのか?
久しぶりに寄った我が家(帰った〜とは言えない事情があった)。
僕はなぜかそんな父に声をかけられなかった。
当然の結果ではあったが、我が家に僕の部屋はなかった。
家出息子のご帰還は、歓待を受けるほどのことではないと分かってはいたが・・・。
そっと見上げた玄関の壁に、父の書いた大きな額がかかっていた。
『雨に濡れて 独り 石がゐる』
だれの詩の一節だったろうか?
父の心境のように思えて悲しかった。
母が逝き・・・継母が来て・・・兄姉が家を出て・・・兄が精神を病み・・・
自身が大病を患い・・・僕が・・・
父を主体とした眼からして、それらはどう映ったのだろうか?

台風の影響もあって、ちょっと工期が延びましたが、明日には完成です。
隣家の壁及び屋根関係もスッキリしました。

後は入口ゲートを残すのみとなりました。

仕事の現場が近かったので、Yさん宅にご機嫌伺いで行ってみた。
もう来年90歳というおばあちゃんだが、口の方は相変わらず達者で高齢を感じさせない。
昔(30年位前まで)小料理屋を営んでいた人で、ズバズバものを言う明るいお婆ちゃんだ。今もその雰囲気が残っていて話していて楽しく飽きない。
台所のちょっとした不具合を直してあげて、お茶をいただいているとき、昔話が出た。「K大学の総長さんやM製作所の社長さんや・・・えらいさんも結構来てくれてはったんやで〜」
「Yさん、その性格やから・・・みんな安心して息抜きに寄ってたんとちゃう?」
「そうかもなぁ・・・そんな人らにでも<ちょっとこれ、隣に渡してんか>って遣ってたわ(笑)」
なんとなくわかるような気がした。ビジネス絡みで緊張しっぱなしのお偉方が、ふっと安心する母親みたいな空気に寄ってきたんだと思う。
「それにしてもYさん、いい時代にお店やってたねぇ〜」
「ホンマや・・・ええ時代やったわ。今では考えられへんわ」
「Yさん・・・そういう裸の接客をしてきはったから〜若いんやわ」
「そうかなぁ・・・そうかもしれへんなぁ・・・」
Yさんは昔を懐かしむような表情で、また僕にお茶を入れてくれた。