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ダウン

砕け散った欠片を集めてみたさ
苛立ちと後悔の中で
あまりの破壊の力量に
ジグソーパズルのようにはいかなくて
ただ寄せ集めただけで
並べ替える気力を失った

こうなることはわかっていたさ
そもそも復元を考えるなら
これだけのパワーは使わなかっただろう

投げやりでもない
捨鉢でもない
やけくそでもない

なんなんだ
この鬱憤は
どこに向けてるんだ
この苛立ちを

超冷静なはずの
もう一人の自分が
どんどん小さくなってゆく

posted by わたなべあきお | - | -

魂

脱ぎ捨てて

そぎ落とし

残るは体ひとつ

それさえも果てた時

強靭な魂が叫ぶ26.12.3-1.jpg

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無常

『世間無常、自己の生死は他に関せず』

                  (日扇聖人)


世間は無常だ。

老少不定、何があるか分からない。

自分の生き死には、他に関係ない、他人に関係ない、誰のせいでもない。

自分がしっかりしないとね。

「いつ死んでもいいと覚悟しておけ」

「お前が生きようと死のうと、誰も全く気にしない、世の中に全く関係ない」

という意味にもとれる。

すごく厳しい「奪」のご指南です。

だからこそ、生きている間、命ある間、精一杯、君にしかできないことをやれ。

目一杯やれ!思い切りやれ!

何も気にすんな。

どうせ誰にも関係はない。

そんなくらいの、ど根性を教えておられるように感じます。(清潤師)

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posted by わたなべあきお | - | -

いいじゃない

馬鹿正直でいいじゃない

糞真面目でいいじゃない

器用貧乏でいいじゃない

二枚舌より

要領よしより

人真似上手より

       

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銀杏

歩き疲れて 歩調をゆるめれば

脚もとの銀杏の葉が 笑って見える

一枚を掌に乗せ そっと包み込む

歌っておくれ 愛の歌を

踊っておくれ 恋の舞を

そうか

お相手が必要か

もう一枚を 拾いましょう

posted by わたなべあきお | - | -

悪夢

暗闇の中で

僕は落下を始めた

不思議と恐怖心はなかった

地面なのか海面なのか

それらしき場所が近づいたとき

僕は意識を失った


夢現というやつなのか

どこまでが実で

どこからが夢なのか

混沌とした設定に

僕は戸惑いながら

自分の体と心を確認した


母親の胸に抱かれて見る夢に

猫や狸があらわれて

幼子には鬼や化け物のように

恐ろしかった

しがみつく指先の温もりと柔らかさが

唯一の命綱だった


同じ夢を

どこで見るかで

その衝撃や恐怖は

安楽の境地にも変化する

僕を取り巻く猫や狸は

いつの間にか

ウサギやリスにすりかわっていた

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回れ右

わたしは潔く撤退した

未練がましいことは言わず

またそんなふりもせず

兵隊さんのように

回れ右をした

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どうしてる

北のきみはどうしてる

病はもう癒えたかな

東のきみはどうしてる

仕事の疲れはとれたかな

西のきみはどうしてる

もう僕のことなど思い出しもしないかな

南のきみはどうしてる

ずいぶんと様変わりしたろうな

同じ街のきみはどうしてる

いちばん近いのに

いちばん遠く感じるのはなぜだろう

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『重荷』

人生の重荷が 先にくるか後にくるか

いずれにしても人は 一度も二度も

その重荷を背負わねばならない

 大いなるものに生かされているはずなのに

 何ゆえに人は 重荷を背負わねばならぬのか

 しばしば人は その問いを突き付けられる

重荷は一人で背負うのではない という

そうした教えに耳を傾けるようになる

それが重荷の本当の意味なのかも知れない

            渡部 一夫

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背景の記憶(163)

    「自画像」

 彼は或る家の長男である。背も高いがずんぐりしているので相撲取りのように不格好な体つきだ。その上歩く時はまるで老人のようによちよちと、おまけにツンとすまして歩く。よちよちして歩くのは小学校の頃足を折ったせいだ。彼は友達に出会うと、必ずニヤリと何だか訳の分からない笑いをうかべる。おそらく自分ではあいきょうのいい顔をしているつもりだろう。

 彼が小学校の頃足を折ったというのは、さんざんあばれたあげくの事で、彼の小学校時のあばれんぼうずは有名だった。教官室に呼びつけられた数えきれないくらいだが又成績の方も非常に良かった。でも彼の今の成績ときたらさっぱりだめだ。おそらくまだ昔の夢を見て、「自分も頭はいいのだから少しでもやればいくらでもよくなる」などと自慢にもならないことを考えて、一向に勉強しようとしない。まあそのうち後悔する時がくるだろう。

 彼は人のいうことはなかなか通さない。一応は「ふんふん」と聞いているが、実は心の中では「フン」と冷笑している。そのくせ自分はろくな話らしい話も出来ないのだからいい気なものだ。

 彼はまた、一面非常に気の弱いところがある。だから一人で買い物に行くことはめったにない。行ったとしても店に女の人がいるとなんだかはずかしいような気がして、いつまでももじもじしている。それに、同じ学級の女子や先生が向こうからやってくると、別段用のない横丁へはいって、通り過ぎると出てきてまたツンとすまして歩く。全く臆病なやつだ。これは彼自身十分認めているところだ。でも家にいるときは大変いばっているのだから妹や弟にもとかくきらわれる。

 父はひとがよくて、というよりあきれるほどの無口で何をいってもめったに怒ったことがない。だから正に彼の天下である。外での弱さを家の中で強く出すいわゆる内弁慶だ。そのくせ父が一番こわいというから不思議だ。

 まあ彼のいいところといったら人のいいこと、飯を炊くのがうまいこと、また彼には似合わぬ素晴らしい闘志をもっていることだ。でもこれはよほど自分が困らないと出てこない。まあこれ位のものだろうと彼自身は思っているらしい。

 彼は海辺に育ったせいか非常に短気で、腹が立つとやたらにあらい言葉をあびせる。一寸気にくわんところがあるとその人を徹底的に嫌う。だから反感をかうことが多い。でも反面涙もろいのでそういう人にやつあたりした後でいつも淋しい気持ちになるのが常だ。

 彼は人が何か聞くとそれに対して素直に答えることがない。いつも人を皮肉ったような答え方をする。どうもこれは慢性のものrたしい。

 彼は退屈するとラジオでまんざいや落語を聞いて一人でケラケラ笑っている。これを妹や弟が見て「気が狂っておらせんか?」などとかまうのでたちまち彼はふんがいして「何ッ」と大きな声でどなる。これも内弁慶のあらわれだ。そんあものを聞いている時間があったら宿題の一つでもしたらよさそうなものだのにめったに宿題などやったことがない。大人になっても大した人物にはなるまい。あのカビの生えたような頭でいったい彼はいつも何を考えているのであろうか。彼はまったくとりとめのない実に奇怪な人物である。彼は今年十六才と三カ月の青年のような少年である。終わり。

         兄・喜久 作

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