先に出かけたはずの君の姿が見えない
反対方向を見れば、もうはるか向こうを君は歩いている
確信したような足取りで
声は届かない距離だ
いずれは合流するはずの道ではあるが
なぜか逢えなくなってしまうような気がして
僕は君の後を追うことにした
追いつけそうもない足取りで
気持ちだけがやけに焦っていた
目覚めると
かすかな疲労を伴ったけだるさを覚えた
まるで歩き疲れたかのような
まるで気疲れしてしまったかのような
心の中に内在する不安と希望の夢化なのだろうか
それにしても君の足取りは確信に満ちていた
対して僕のそれはどうだ
何とも心許ない歩みではないか
気持ちは走っても足は走らない
不自然になぜか呼吸は荒い
これがあの疲労感の原因か
夢の中の出来事でも体は疲れるんだ
シャワーでも浴びるか
重い体で立ち上がる

「ファイト!」
君の声が場内に響き渡る
メンバーが「オー!」と男勝りの声をあげる
さすが!
キャプテンは君でなきゃ!
僕は応援席で拍手をする
両手が赤くなるほどに・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
君はバスケ部のキャプテン
僕はバスケ部男子の補欠
クラスに帰れば・・・
僕は委員長
君は副委員長
なんとも微妙かつアンバランスな関係
でも・・・僕は
そのアンバランスの中に
不思議な心地よさを覚えるのだった
