断片ノート(1)
この世で一ばん遠い場所は
じぶん自身の心である
生まれてから何回ドアを閉めたか
思いだすたび
ひとは老いる
みんなが一つずつ
じぶんの海をもてばよいのだ
わかれるとき
とこへでも持っていけるように
断片ノート(2)
海は巨大な忘れものである
あまり大きすぎるのでどこの遺失物収容所
でも預かってくれない
断片ノート(3)
海を書くのではなく
海で書きたい
一字ごとに原稿用紙がぬれてゆき
やがて一篇の詩が波立って
怒涛となるように
【寺山修司】

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わたなべあきお | - | -