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断片ノート

    断片ノート(1)

  
  この世で一ばん遠い場所は  
  じぶん自身の心である

  生まれてから何回ドアを閉めたか
  思いだすたび
  ひとは老いる

  みんなが一つずつ
  じぶんの海をもてばよいのだ

  わかれるとき
  とこへでも持っていけるように


断片ノート(2)

  海は巨大な忘れものである

  あまり大きすぎるのでどこの遺失物収容所
  でも預かってくれない


     断片ノート(3)

   海を書くのではなく
   海で書きたい

   一字ごとに原稿用紙がぬれてゆき
   やがて一篇の詩が波立って

   怒涛となるように


      【寺山修司】
  




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ララバイ

♪旅につかれた 若い二人に
 さすらい人の 子守唄を

 星は歌うよ どこへゆくの

 ふるさとのあの丘に もう帰れない
 今はもう帰れない

………………………………………………………………………………………

 涙を流す 若い二人に
 さすらい人の 子守唄を

 おさない頃に ささやいた
 あの海もあの星も もう歌わない
 今はもう歌わない

 夜が明けたら また旅に出る
 
 ふるさとのあの丘に もう帰れない
 今はもう帰れない

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BOY

       B O Y

     あなたの言う

     少年の心とは

     遠いむかしに置き去りにされた

     母なき子の名残でしょうか?

     それとも・・・

     誰もが持ち合わせて

     溶解しえなかった

     純粋という名の結晶でしようか?


                 (2005.11.8)

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心に富む

  雨の日は、雨を愛そう、

  風の日は、風を好もう、

  晴れた日は、散歩しよう、

  貧しくば、心に富もう。


    【堀口大学】

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お と な

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    お と な


 見えない足枷

 僕はひたすら走って
 転けてしまった

 見えていたゴール
 手招きをするあなた

 僕はひたすら走って
 テープを切ったと思ったら
 そこは蜃気楼のように
 消えていた

 両腕を広げて待っていたあなた
 ……なのに

 僕はふたたび
 走り出す余力は 
 もうまったく失せてしまっていた

 
 

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手招き

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   手招き


   塀がある

   川がある

   僕は登れない
   僕は渡れない

   大人になって
   そこへ行ってみたら
   すぐ越せる塀だった
   すぐ飛べる川だった

   あなたが手招きしてくれてたのに

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あなたに

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    あなたに

書物のなかに海がある
心はいつも航海をゆるされる

書物のなかに草原がある
心はいつも旅情をたしかめる

書物のなかに町がある
心はいつも出会いを待っている

人生はしばしば
書物の外ですばらしいひびきを
たてて
くずれるだろう

だがもう一度
やり直すために
書物のなかの家路を帰る

書物は
家なき子の家


    【寺山修司】

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明日に向かって

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何気ない毎日が 
風のように過ぎていく

あの日の眼差しも
あの日の囁きも
遠くへ遠くへ消え失せてゆく

思い出に浸ることは
涙と嘆息の誘い水にはなっても
明日の光とはなり得ない

どんなに悲しかったことだって
今となれば貴重な思い出だ
今日を生きる糧にさえなる

僕は君にとっての
そんな存在であり続けているだろうか
心の灯的存在のままだろうか
雄々しく明日に向かうための希望の源泉だろうか

僕はそのように生きているのだが……

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山.川

人 山を見る

我 川を見る


偏屈ではなく 頑固でもなく 意地っ張りでもなく

己の信じる道を行く


その先で交われば

それはそれで良し


交わることなく

捻れの位置ならば

それはそれで また良し

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元気です

♪夕暮れ時には想いがかけめぐり
三度目の秋に 何かが揺れている
時間をとめても 過ぎゆくものたちは
はるかな海原に ただよい夢と散る
かすかに聞こえた やさしさの歌声は
友や家族の 手招きほどなつかしく
木の葉にうずもれて 季節に身を任す
それでも 私は私であるために
そうだ 元気ですよと 答えたい
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このころ……

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