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  垣間見た 人の心の瞬間は

  見事なまでに的を射た正解で

  他の場面すら要しない

  そんな千里眼的要素が この身にあろうはずもなく

  ただボンヤリと 薄目を開いて見ていただけのこと

  彼らが 自然を装おうとすればするほど

  その不自然さは増幅し鮮明化し

  嘘の固まりが突出して 弾け飛ぶ

posted by わたなべあきお | - | -

天空の城

自分は自分であって
他の誰かさんではない
他人様の眼が作り上げた僕は
誰がなんと言おうと僕ではない

親のせいにして
辛うじて自分を保っている人を見る
その際どいアンバランスな心に同情を覚える
みんな みんな 似たり寄ったりさ

梅雨空のベタついた空気が
心の中まで染み込んでくる
吸い込んだ空気が 酸素が
脳まで届かずに
冴えない頭を さらに混乱させる

こんな時こそ こんな時こそ
母に居てほしい
言葉は要らない
温もりだけで 僕は救われる

天空の城に旅した夢を見る
虚像の世界のその中に
リアルな母の実像を発見する
しかし しかし
いつものように いつものように
母は僕を追い返す
まだ此処へは来てはいきません…と


 

posted by わたなべあきお | - | -

時分の花

   若さの積み重ね

   その先に存在し得る 輝く結晶

   いや、しかし…

   若きその時の その一瞬の美こそが

   素晴らしいのではなかろうか

   もう二度とは帰れない

   あの輝き

   懐かしむ老人の眼差し

posted by わたなべあきお | - | -

真珠

   真珠が

   貝中に挿入した異物を

   その涙に等しい体液で包んで

   美しく結晶する相を

   想うべし

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帰ってきた詩集

   ひとすじの道をみつめなければならぬ

   とこまでつづき

   どこで絶えるのか

   それは問わぬ

   ひとすじの道をみつめなければならぬ

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率直性

   率直性

   その新鮮さ

   それが最大の美徳であること

   …それに気付くまでに

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脱出

   脱出

   それは

   小気味よいこと

   後に残ったものは

   指を咥えて…

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拒絶反応

置き去りにされた悲しみは

あなた方の胸には響かない

暗いバス停の前で

ひたすら帰りを待っていた

一台また一台と バスが通りすぎて行く

家に鍵がかかっていたわけではなかったけど

真っ暗で 食べ物もなくて…

わずか四才の僕には恐怖心が襲いかかって…

バス停の灯り下の方がまだ安心で…

当時の幼子に

新婚さんの戯れ事など分かろうはずもなく…

あの瞬間から

僕の拒絶反応は固まってしまったと思う

posted by わたなべあきお | - | -

人の見る夢

あなたは僕の心を知らない
知る由もまた無い
当然と言えば当然
何ら差し挟む余地も無い

でも、あなたは僕の裏返しのように思えてならない
素っ気なさの奥に
溢れる好奇心の眼を見つけた気がする
あらぬ方向を見ているようで
心の眼は此方を凝視している

互いの特有の視線が激しく交錯する
バチバチと音を立てて
そこに生まれる火花の中に
一本の煙草を差し出してみる
吸い込んで赤みを帯び始めた瞬間に
何処からか しかし確実に
消し去ることを目的とした風が吹き抜ける

その風元を確認しようと振り向いたとき
その主の姿はなく
ほのかな灯りを伴って
天へと昇って行った
人のみる夢と書いて儚いと読む

posted by わたなべあきお | - | -

或る人に捧げる私の弁証法

その人はまぶしい
私はひどく気を遣う

その人の得意な笑顔
一点の曇りもない爽やかな笑顔から
私は逆に
宇宙の寂寥を読み取る
まるで星座のような...

そうです
そしてまた
人知れぬ夜空の深淵に飛び交う
閃光のささやきを

posted by わたなべあきお | - | -

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