地下鉄を降り 階段を駆け上る
とは行かず……
手摺を頼りに 歩を運ぶ
雑踏のなかの 孤独
信号の青の点滅
走り渡ろう
とは行かず……
次の切り替わりを 待つ
宴会の中の ふとした孤独
楽しげな会話が 僕を
素通りして行く
若い世代の 屈託のない笑顔
未来の希望にあふれた会話
通路の壁の 有名人の色紙
都心を離れての 二次会
何かしら うら寂しさが漂う
自分の世界に入った 女の歌声
往年の声が出ない 惨めさ
ここでも現実を突き付けられる
昔は良かった……
もうひとりの自分が 淋しく呟く
三軒目の女将は
もう店を締めようとしていた
他の客は誰もいない
ここでも突き付けられる 現実
昔は良かった……
女将も 僕も 友も
遠い過去に 己を運ぶ
だんだんと 現実が比重を増していく
それにしても この物価高はなんだ
わずかな距離のタクシー代に
酔いが醒めていく気がする
夏の夜の 数時間の彷徨
頼りない足取りと同じく
我が心も 彷徨い 眠る

父方にしろ母方にしろ、私がその最末孫であることを意識した時、双方の
不遇、災難、困窮問題、特殊な病巣に行き当たり、その解明と解決に
心を傾注しなければならぬとの結論に達したのでした。
それぞれの代に現出した具体的な事例と、父から譲り受けた家系図を紐解いた時、
不審と言えるある一霊は、系を成す線からぽつんと外れて記されていたのでした。
まるでその一員ではないかのように。役所に届け出されていないのか、あるいは闇から闇へと葬り去られた一霊なのか?明治時代のしかも離島の小さな部落の出来事など知る由もない。
しかし、小説や映画の「八つ墓村」にも似た数々の同現象が我が家系に代々起こり続けたことは否定出来ない事実として残っている。おそらくは誰ひとり疑念を抱かずに、これまた誰ひとりその解明に着手しなかったことが問題なのだ。
過去のことは覆せはしない。しかし、これから先に起こることを予防することは可能だ。
私にできることは、その可哀想な霊の「鎮魂」ということになる。それにしてもなぜこれまで誰ひとりとして、その解決策を講じて来なかったのか?最末孫の私が、諸々の悪現象の食い止め役にならなくてはいけないという結論である。

あれだけお父さんを憎んだということは
それだけ、あなたはお父さんが好きだったのでしょう
あれだけお父さんに反発したということは
それだけ、あなたはお父さんに認めて欲しかったのでしょう
授業の合間に教室を抜け出して、グランドを真っ二つに歩いて
校門を出て行くあなたを、僕は教室の窓辺で羨ましく見つめていた
何が原因だったのかを知ったのは
ずいぶんと時を経てからのことでした
僕の異変にも、あなたは感付いていたはずです
同類でしたからね
二人にしか分かりあえない異変の代物
反比例 捻れの位置
授業の文字列が抽象用語に性格を変える
環境は恐ろしく人間の心に入り込み蝕む
あなたも一緒のはずだ
ひとりで二人の自分を生きている
