「法律に触れるという意味じゃそうだがな」
照明の落とす影が、猛禽のような義父の目鼻立ちを一段と鋭く見せていた。それでいて、義父はとてもくつろいでいるように見えた。とても親しく見えた。
一瞬、私はぞっとした。
義父の表情は語っていた。法に触れこそしないものの、私はもっともっと凄いことをやってきたよ。裏切りも企みも、駆け引きも暗闘も、収奪も秘匿も。
人間はそういうものだ。必要に迫られれば何でもやるんだ。義父はひとかけらの粉飾もなく、私にそう言っているのだ。問題は、それを背負っていかれるかどうかだけだ、と。
「誰か somebody」(宮部みゆき)

僕は思った・・・
過去の記事を見て思ったんだ。
ここのところの記事内容は「暗いよなぁ〜」って。
今の自分のありのままを書かなくてどうする・・・もあるけど、
比率は低くても、もっと明るく跳ねる自分を取り戻さなくちゃいけないな。
「旧なべちゃんエッセー」読み直した。
10年以上前・・・あんなこと考えてたんだな〜。
年のせいにしちゃいけないな。
景気や世間的なことに振り回されてちゃいけないな。
モットーが消えかかっている。
<さりげなく><シンプルに>

♪一日二杯の酒を飲み
肴は特にこだわらず
マイクが来たなら微笑んで
十八番をひとつ歌うだけ
妻には涙を見せないで
子供に愚痴を聞かせずに
男の嘆きはほろ酔いで
酒場の隅に置いて行く
目立たぬようにはしゃがぬように
似合わぬことは無理をせず
ひとの心を見つめ続ける
時代おくれの男になりたい
不器用だけれどしらけずに
純粋だけど野暮じゃなく
上手なお酒を飲みながら
一年一度酔っぱらう
昔の友には優しくて
変わらぬ友と信じ込み
あれこれ仕事もあるくせに
自分のことは後にする
ねたまぬようにあせらぬように
飾った世界に流されず
好きな誰かを想い続ける
時代おくれの男になりたい

今読んでいる本の中に、ハッとする文言を見つけて驚く。
<世捨て人>
僕は二十歳のころ、叔父の依頼に乗って、離島での港湾建設の仕事の手伝いをしていた。
従業員のほとんどが出稼ぎ労働者で、その人たちを束ねるのが役目だった。
今なら犯罪ものだろうが(いや当時でもチャンとした犯罪か)、無免許で小型船やダンプを運転したり、潜水夫の命綱を握ったりしていた。
飯場では鹿児島出身の人たちの影響で、焼酎をしこたま呑んだ。父親のような世代の人たちに「アキちゃん、アキちゃん」と可愛がられた。
そんな賑わいの中から抜けて、夜中に波止場に熱転がって、星空を眺めるのが常だった。
そんな僕にある日叔父が、酔っていたせいもあるのだろう・・・「お前は、世捨て人みたいなやっちゃなぁ〜」と呟いた。(若干二十歳の人間に世捨て人か・・・)不思議と反感は覚えなかった。言い当てていたからかもしれない。そうなんだ、あのころ僕はもう、ある部分で達観していたところがあったんだ。母親のいない現世なんて・・・」と。
そして・・・