「諸君よ。紺いろの地平線が膨らみ高まるときに、諸君はその中に没することを
欲するか。じつに諸君はこの地平線におけるあらゆる形の山嶽でなければならぬ。
宇宙は絶えずわれらによって変化する。誰が誰よりどうしたとか、誰の仕事が
どうしたとか、そんなことを言っているひまがあるか。
新たな詩人よ。雲から光から嵐から、透明なエネルギーを得て、人と地球によるべき
形を暗示せよ。新しい時代のコペルニクスよ、余りに重苦しい重力の法則から、この
銀河系を解き放て。衝動のようにさえ行われるすべての農業労働を、冷たく透明な
解析によって、その藍いろの影といっしょに、舞踏の範囲にまで高めよ。
新たな時代のマルクスよ、これらの盲目な衝動から動く世界を、素晴らしく
美しい構成に変へよ」
宮沢賢治

どんよりとした曇り空の下
二羽のカラスが
テレビアンテナの上と電柱の天辺で
羽を休めている
何を考えているのか
獲物でも物色しているのか
もう半時間近く動こうとはしない
雨が落ちてきた
鳥の羽は防水だよな
それにしてもまったく動く気配はない
彼らの向こうの山が灰色と化し
稜線がぼやけてきた
雨音が聞こえるほどに
強く振り出してきた
彼らは?と思ったとき
一羽が飛んだ
誘われるようにもう一羽も
近くの造園屋さんの茂みの中へ消えて行った
それにしても
僕は何をしている?
雨音が疑問符の連続に聞こえてくる
もう・・・
山並は見えなくなってしまった
