急に雲行きがおかしくなったので 僕は洗濯物を取り込みに ベランダへ出たのです そこに一匹のアブラゼミが ひっくり返っていました まだ生きているようだったので 僕はそっと取り上げ 樹のある方向へ逃がしてやりました ところが 勢いよく羽ばたいたかと思ったら 隣の家のコンクリートのところに またしても仰向けで落ちてしまいました なんでまた・・・ 僕は複雑な気持ちで 洗濯物を取り込みました やがて ザーっと大粒の雨が 風を伴って落ちて来ました
どこかでチリッと光ったような 僕はかすかな音として感じた 数秒後・・・ ゴロゴロ ゴロ ゴロ〜ン 雷神のお腹の 調子でも悪いような なんとも情けないような音が 淀んだ空に 鈍く響いた
行水 「行水せんかね」 「水、浴びんかね」 夏、実家へ帰ると 父の第一声は いつもこれだった 行水・・・もはや死語かな しかし、言われるままに 水を浴びると 体がしゃきっとして 扇風機の風が心地よかった 冷やした西瓜やトマト それに素麵が 定番だったな
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