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背景の記憶(157)

    満天の星


離れ小島の海辺に寝転がって

満天の星空を見上げた

あの夜を覚えているよね


無数の星たちは

手が届くようにそこにあって

降ってくるような

引き込まれるような

あの不思議な感覚


流れ星は

幾筋もの鮮やかな直線を描いて

水平線の向こうに消え

星雲も星屑と呼ぶには

もったいないくらいに

宝石のようにそれぞれが輝いて


本土の雑踏や喧騒を

吐き気を覚えるくらいに

遠ざけたくて

このまま時間余止まれと叫ぶ言葉を

大きなため息に変えて

僕は目を閉じた


すぐとなりのきみは

何を考えていたのだろう

何を夢見ていたのだろう

五つの年齢差は

母と子ほどの重さと温もりで

僕のすべてを包み込んだ

posted by わたなべあきお | - | -

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