あなたが後ろから追いかけてくる靴音は 言葉に置き換えられるほど新鮮で 思わず歩調を緩める僕だった 速足のいじわるはできなくて かと言って振り向く勇気もなくて 隣に並ばれる瞬間が待ち遠しかった それからの数分間 僕たちは見合うこともなく 交わす言葉もなく ただゆっくりとした同じ歩調で駅へと向かった 自然に絡まった小指に力を感じたとき 初めて目と目で向き合った そしてやがて安心しきったように しっかりと手を握りあった
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