尚子 「あたしたち、ヘンな時に逢っちゃったのね」
菊男 「・・・・・・」
尚子 「さよなら」
尚子、手を出す。菊男、握手。尚子、離さない。
尚子 「もう少し、こうしててもいい?」
菊男 「手が汚れてるよ」
尚子 「(いいの)青春の思い出って、これひとつなんだもの」
スナックの照明暗くなり、また明るくなる。
尚子 「青春て、どして青い春って書くのかな」
菊男 「・・・・・」
「冬の運動会」 向田邦子
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