<< 2024/11 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

遅い春

君と僕は同姓で

君のお母さんも先生で

二人は姉と弟みたいでした

なんでも話して

なんでも理解し合って

なんの不自然もなかった

あれは何時からだったんだろう

この思いはなんだ?

って思い始めたのは

posted by わたなべあきお | - | -

顔は母親似かな

おでこ 眉 目 鼻 口 輪郭・・・

殊更に目が特徴的だ

母もどこか遠くを見ている

焦点が合っていないわけじゃない

はるか遠くを見つめている

口元も意味ありの表情を見せる

きりっともしてないし

はっきり微笑むわけでもない

微妙な笑みを浮かべている

照れなのか相手に対する防御なのか


両頬を叩いて鏡を離れ

僕は現実に立ち向かう

まだ眼力は残っているぞ
 目.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

無重力

心の無重力とでも言える
空間があったなら
すんなりドッキングできたでしょう

重力が
葛藤や摩擦や逃避を生み出し
激しい磁力は衝突を引き起こす

心世界の塵たちは
想像以上に厄介で
ひっつき絡み締めあげて
過呼吸世界に引きずり込む

転結は要らないさ
起承を繰り返してくれないか
終わりのない世界に
漂わせてはくれないかい



25.2.16-2.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

トランプゲーム

それを中途半端と言うべきか
程良い収まりと言えるのか
僕は言葉を呑み込んだ


あのとき・・・
もし発してしまったとしたら
あなたはどう反応したのでしょう


幾種類もの結果を思いめぐらせていると
そのどれもが正しい応えのような気がして
僕は呑み込んで良かったと思うのでした


僕の幼稚な経験から言えば
すれ違う心の交錯は
希望や期待と背中合わせで
トランプゲームのようにひっくり返るのです


ダメージを怖れて
次のカードを求めなかったのは
僕の臆病だったのでしょうか
それとも・・・25.2.16-1.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

山荘

ショートカットは止めにして
遠回りして帰ろう
鞍馬の奥深く花背の峠は
雪に覆われていた

北山杉に囲まれた中腹に
山小屋風の家が一軒
似合いのRV車がかっこいい

鎖もなく走り回る犬
軒先で腕組みをしながら見守る婦人の笑顔
子どもたちの下校時間にはまだ早いのか
ゆったりとした絵のような風景だ

憧れの山荘生活
街への下り坂になって
買い出し気分になっている自分に
苦笑いした山小屋.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

親代わり

常はモノトーンが基調のファッションでしたが

あの日、まだ半袖には寒い春の日

鮮やかなコバルトブルーのシャツで

あなたは僕の前に現れました


ちょっと胸を張ってみせたポーズが

ファッション誌から抜け出したようで

僕は戸惑ってしまったのでした

あれがあなたの告白だったのでしょうか


高校の卒業式

教室の後ろには

真っ白なブラウスと濃紺のスーツに身を包んだ

あなたの姿がありました

クラスのみんなにはどう映ったのでしょうか


日射しはやわらかで温かく

ゆっくり並んで歩く二人の影は

それから先の何を物語っていたのでしょうか二人の影.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

わすれもの

幼すぎて言えなかった

亡母への「生んでくれてありがとう」

痴呆で伝わらなくなってしまった

親父への「いつも見守ってくれてありがとう」

気恥ずかしくて言えずじまい

兄貴への「誰よりも認めてくれてありがとう」


どうしていいのかわからなかったにちがいない

継母への「素直でなくてごめんなさい」

兄らしいこと何にもできちゃいない

義弟への「至らぬ兄貴でごめんなさい」

いちばん苦労したんだろうに

姉への「楽させられなくてごめんなさい」


あっちへもこっちへも

おおきなおおきなわすれもの

今からでも遅くないのかな

とどけ とどけ

時空を超えて

posted by わたなべあきお | - | -

男と女

嘘がなく

さりげなく

穏やかで

あたたかく

キラリと光る何かを持っている




そんな男でありたい

続きを読む>>

posted by わたなべあきお | - | -

温まろう

厳しい寒さの夜は

何も無いアパートで

寝袋に包まって眠った

あのころを思い出して

プラス二度温まろう



こころ震える夜は

遠く離れていても

底抜けに明るかった

きみの笑顔を思い出して

プラス二度温まろう

ひかり6.1.jpg

posted by わたなべあきお | - | -

▲page top