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黒い色のジーパン

うす紫の山並みは ふるさとの色
なだらかな山稜が 湖に映る
二人で堤に腰かけて
だまっていつまでも眺めてた
うす紫の山並みは ふるさとの色

ブルーグレーの夜空は 想い出の色
一番星を待つ前の わずかな瞬間
二人で小舟に横たわり
満天の星空を待ちわびた
ブルーグレーの夜空は 想い出の色

黒い色のジーパンは 悲しみの色
ボタンダウンのシャツが 似合ってた
二人が別れた坂道に
きみの靴音が遠ざかって行った
黒い色のジーパンは 悲しみの色
 

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posted by わたなべあきお | - | -

月桂樹

隣地境界の斜面に

雨に濡れながら

月桂樹が独り立っている

低木たちのような刈取りの難を逃れて

枝を伸ばし緑の葉をひろげ

天に向かって伸びている

また二階のベランダを追い越したね


怪しい病害にも負けず

虫たちの侵攻にも怯まず

きみはいつも天を目指している

雄々しいと表現しようか

凛々しいと語ろうか


雨に濡れて

きみは独りで立っている

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怒り

荒々しい言葉が内奥に充満して

唇を突き破ろうとする瞬間

どこから現れるのか

自制の圧縮空気が

充填工具のように

押し返してゆく


重苦しい沈殿

真っ暗な底部に収まった瞬間から

またしても沸々と

マグマは襞を突き破ろうとする

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たちあがれ

きみはそのままのきみであれ

なにもかえることはない

どこまでも

きみはそのままのきみであれ


ぼくはこのままのぼくではだめだ

こんていからかえなくてはならない

いつのひか

きみとならぶぼくじしんになりたい


くろいかげが

ぼくをむしするかのように

おいこしてゆく

ぼくのゆくてをさえぎり

ふりむいてかぜをふきつける

あたかも

まいりましたとひざまづけ

とでもいうように


たすけぶねはいりません

ぼうふうりんもいりません

たおされても

またたちあがるだけのことです

きみがそうしてきたように

またたちあがるだけのことです

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おばちゃん

おばちゃんが面白い
外で仕事をしていると
気楽に話しかけてくる
「おはようさんどす」
「ごくろうさんどすな」
帰りには
「ちょっとイズミヤまで行ってきましてん」
「おきばりやす」

たぶん・・・
家では独りなんだろうと推察する
人恋しさ
孤独との闘い
そんな心理の裏返しかも

立派な門構えの続く家々で
それとは裏腹に
中にはうら悲しい空気が
充満しているのかもしれない

外へ出て
自分を確認する
誰でもいいから
言葉を発する
そうでもしないと
生きていることを
確信できないのかも知れない

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金と色

金と色の落とし穴

ドスン!と落ちなくても

蟻地獄のように

引きずり込まれて行くもの


金と色の誘惑

空中なら大丈夫と思っても

霞み網が待っている

蜘蛛の巣が狙ってる


そうか

悪鬼悪魔は

そうやって忍び寄るのか

善人ぶって

親切ぶって

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posted by わたなべあきお | - | -

時の速さを感じないかい
幼いころも
今も
ホントは同じなんだけどね

昔の一日が
今の一か月くらいに感じる
幅広い未来と
先の短い明日との
そういう差なのかな

その溝を埋める
手立てはあるよ

充実度
密度
そういうところだね

遠くを見る目と
今を見る目との
微妙なバランス

そこに
時は
歩みを速めたり
のらりくらりしたりする

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心眼

きみたちには解るまい
  
日々打算に明け暮れる

きみたちには解るまい


理解せよとは思わない

理解してくれよとも頼まない

所詮

交わらない空間に

互いの心は住んでいるのだから


自分たちの最大限の経験から

速射砲は撃ち込まれる

白煙、黒煙、煙も見えず

それらに都度表情を変え

一喜一憂してみせる


僕は隠れない

僕は逃げない

弾が頬をかすめても

僕は動じない

逃げる姿勢もとらない

直立不動

一刀を握りしめ

心眼をかっと見開く



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泣き笑い

気を楽に持とう
そう思った矢先から
また考え込んでしまう
飛びぬけたと思ったのに
また振り出しに戻ってる

気を楽に持とう
暗い雲が湧かないように
シャットダウンを試みる
どこにそんな隙間があるの
グレーのミストに覆われる

気を楽に持とう
君の笑顔を思い出す
作り笑顔でもかまわないさ
両目の端を押し下げてみる
君は僕の心の中で泣いている

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posted by わたなべあきお | - | -

別離

喪服のあなたは美しかった

不謹慎な想いだったかもしれないが

清楚ななかに

一種独特の輝きを放っていた

故人は還らない

しかし

あなたのなかに

たしかに生きておられる

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posted by わたなべあきお | - | -

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