「縁」と言えば、僕はどういうわけか<九州女>と縁深くて
北島三郎の歌ではないが・・・「博多の女」「薩摩の女」そして熊本の人も。
また不思議なことに、名前もなぜか「悦子」さんが多くて
これは土地とは関係なくて、五人を超える。
相性というのか何というのか・・・何かあるんだろうな。
生い立ちから来る性格からなのか、追いまくられリードされっ放しで
まったく男の立場がなかったのだが、おそらくは・・・
その反対ではそうはならなかったのだろうし、変に納得してしまう。
凸凹コンビというのか、プラスとマイナスのバランスというのか
世の中はそれで成り立っているものらしい。
「いつも遠くを見てる目をしてるね」
「どこかに何かを忘れてきたの?」
「未練?失恋?後悔?・・・」
全部かな
いろんなことがありすぎたよ
僕の年齢と短い時間を思えば・・・
そばに居てほしい人は
みんな僕から離れて行ったよ
結婚、病死、脱走、転向・・・
どちらが真面なのか
何が正義なのか
人道という名の仮面
「ねぇ〜、胸が痛いってことある?」
呼び出されて宍道湖の防波堤に腰かけていたとき
突然放送部の後輩の彼女が聞いてきた。
「えっ?」
僕はどう答えていいのか戸惑った。
「う〜ん・・・経験はないけど、あるんじゃないかな」
「好きなひとでもできたんか?」
彼女はしばらく黙って俯いていたが
突然立ち上がり、くるっと反対を向いて
ひらりと地面に飛び降りた。
スカートを翻したその動きの中に
「あっ、もしかして・・・」と思ったとき
彼女はもうかなり前を歩き始めていた。
何とも言えない複雑な想いが、彼女の背中に漂っていた。