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背景の記憶(152)

「ねぇ〜、胸が痛いってことある?」

呼び出されて宍道湖の防波堤に腰かけていたとき

突然放送部の後輩の彼女が聞いてきた。

「えっ?」

僕はどう答えていいのか戸惑った。

「う〜ん・・・経験はないけど、あるんじゃないかな」

「好きなひとでもできたんか?」

彼女はしばらく黙って俯いていたが

突然立ち上がり、くるっと反対を向いて

ひらりと地面に飛び降りた。

スカートを翻したその動きの中に

「あっ、もしかして・・・」と思ったとき

彼女はもうかなり前を歩き始めていた。

何とも言えない複雑な想いが、彼女の背中に漂っていた。

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posted by わたなべあきお | - | -

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