みんな必死に意見を戦わせているのだが
僕にはどうでもいいことのように思えて
口がパクパクの無声映画でも見るようで
その内容はちっとも耳には入ってこない。
喋っている人の後ろに、もう一人の彼や彼女を浮き上がらせて
まったく異次元の言動を重ね合わせる。
そっちの方がむしろ僕の興味をそそり、天井までいっぱいの議場と化す。
僕は書記なので、みんなからは正面横に坐しているのだが
その中のひとりだけ、僕を興味深そうに見る視線を感じた。
彼女は上品に脚を組んでいる。目は穏やかに笑っているようなそうでもないような・・・。
おや、見抜かれてるのかな?
ふっと現実に戻されて、僕はもっともらしく机上の書類に目を落とした。
「ちっちゃくまとまんなよ」
「死ぬ寸前の大怪我をしてみろよ(精神的にだぞ)」
誰に言われたのかな?
何の本に書いてあったのかな?
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冷たい雨の日曜日
ストーブの前で
ぼんやりと・・・反芻する
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「この世は一回きりの芝居さ。大袈裟なくらいに演じてみろよ」
「当たって砕けろって言うけど、ほんとに砕け散ったた奴はそうはいないね」
「中途半端がいちばん駄目だ。やるならとことんやる、やらないと決めたらやらない」
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今でも当てはまるのかな?
スティックを何本も持って
石橋を渡る〜腰の退けた男が見える。