二人ゐる 秋耕すでに 暮れんとす (一天) 終戦後郷里に帰った一家は、両親の食糧増産の手伝いの他に、自分たちで営む畑を一枚あてがわれた。湾入を一望する段々畑の一角、芋を掘り上げた後へ麦を蒔く。嫁入り当時、百姓は嫌いだと言っていた妻が、おし迫る夕闇の中でせっせと畝かきをしている。そのねいさん被りの横顔が不思議な感動を誘った。祖母に任せっきりの三児のことも念頭になく、(全くあの時子供たちはどうしていたのだろう)いつまでも黙々と鍬を動かし続けた。
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