人ごみの中に君を探した
なにか目印を聞いておけば良かった
快活な若者たちの中では息苦しい
僕はビルの隅っこに身を置いた
行き交う人々が川のうねりのように見えた
こんな時は動かないことだ
腕組みをして目を閉じてみる
君の笑顔が浮かんだ時
肩をトントン
ほら、やっぱりね
さっき見たそのままの笑顔の君が立っていた
目と目で会話して
僕たちはゆっくりと歩き始めた
握り合った手と手の会話もいつも通りだ
そんなふたりを背中の夕日が
僕たちの前に長い影を作った