「瑞々しい欅の若葉を透いた光が・・・」
古びた木造校舎の中学校の教室で
先生に「渡部、読んでみろ」と言われ
僕は国語の教科書の巻頭の詩を読み始めた
窓からは明るい陽光が差し込み
教室の暗い部分とのコントラストが鮮やかだった
小学生時代、放送部だったこともあって、朗読は得意だった
誰に教えてもらったのだろうか・・・
眼は数行先を追い、言葉は逆の行いをしていた
中野重治の詩を読み終えた時
先生が言った
「うん、「間」がいいな・・・うん・・・」
僕は、窓の外のグランド横の緑の木々をじっと見ていた