リアルな夢を見る 登場人物は多彩だ 故人もいれば遠くの人もいる シナリオも現実が色濃く反映されている 「おいっ!」という呼びかけに がばっと跳ね起きる 誰の声だ? 窓を開けて東天を見れば 三日月に金星がやさしく寄り添っている お月さんよ あなたは幸せ者だ
オリオンはブルーグレーの中に消え 半月は顔色を白く変え 明星は徐々にその輝きを失ってゆく 東の山の稜線がバックライトに浮かび わずかな雲もやがてオレンジに染まる 夜と朝の交代劇
コツ コツ コツ 自分の靴音を耳に刻む 革靴ならではの感覚だ コツ コツ コツ 緩やかな坂道に 靴音だけが響く 眠りを覚まされたとでもいうように 大型犬が起き上がって ワン!とエコーのような一声を上げた 僕だよ 僕 そんな意味合いで僕はまた コツ コツ コツと リズミカルに歩く
自分の中で 自分と自分が闘う 右と左 上と下 白と黒 どちらも強い どちらも負けない 自分の中に第三者はいない 二人で決するのみ
ほんのちょっとした時間のずれが とてつもなく大きな溝を生んだ 疑念や詮索を超えて 突き当りの右か左の選択肢 どちらを答えたって 君の手にはレッドカードが握られている 多弁な言い訳も無言の沈黙も許されず 僕は途方に暮れた
今しかできないなぁ〜という夢がある そう思いながら五年は経っただろうか キャンピングカーとまではいかなくても 車中で寝られる大きめのワゴン車でいい お世話になったあの人に 懐かしいあの人に あの人にも、あの人にも 逢いに行こうと思ったいるのだ 葬式ではだめなんだ 生きてる間に行かなくちゃ 飲んで・・・飲んで・・・ 語り・・・歌い・・・懺悔する あのひとはもういない あのひとももういない みんなが僕を 独りぼっちにしてしまう
背筋を伸ばして しっかり前を向き 颯爽と歩く貴女に しばし目を奪われた ハンドルを握る僕が 猫背になっているのに気付いて 僕は車中で よしっ!と気合を入れた
うす紫の山並みは ふるさとの色 なだらかな山稜が 湖に映る 二人で堤に腰かけて だまっていつまでも眺めてた うす紫の山並みは ふるさとの色 ブルーグレーの夜空は 想い出の色 一番星を待つ前の わずかな瞬間 二人で小舟に横たわり 満天の星空を待ちわびた ブルーグレーの夜空は 想い出の色 黒い色のジーパンは 悲しみの色 ボタンダウンのシャツが 似合ってた 二人が別れた坂道に きみの靴音が遠ざかって行った 黒い色のジーパンは 悲しみの色
隣地境界の斜面に 雨に濡れながら 月桂樹が独り立っている 低木たちのような刈取りの難を逃れて 枝を伸ばし緑の葉をひろげ 天に向かって伸びている また二階のベランダを追い越したね 怪しい病害にも負けず 虫たちの侵攻にも怯まず きみはいつも天を目指している 雄々しいと表現しようか 凛々しいと語ろうか 雨に濡れて きみは独りで立っている
荒々しい言葉が内奥に充満して 唇を突き破ろうとする瞬間 どこから現れるのか 自制の圧縮空気が 充填工具のように 押し返してゆく 重苦しい沈殿 真っ暗な底部に収まった瞬間から またしても沸々と マグマは襞を突き破ろうとする
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