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自己中心主義

〇権力を持っている者は、とかく自己中心主義になりやすい。金を持っている者も

 同じ。つまり無力感の絶壁にぶっつけられた事が無いからです。

 これを職業別で言えば、弁護士、新聞記者、医者、教師等々。

 教師は父兄から一応立てられるのと、もう一つは、現実界のきびしさが

 分からぬからです。

森  信三


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A sound mind in ・・・

A sound mind in a sound body.

〇人間は心身相応的存在ゆえ、性根を確かなものにしようと思えば、

 まず体から押さえてかからねばならぬ。意識は瞬時に変転する故

 持続性を養うには、どうしても身体から押さえてかかる外ない。

 しかも体の中でいちばん動かぬところは、結局胴体であり、しかも

 その中心が腰骨である。それ故、二六時中この「腰骨を立てさす」

 以外に、主体的な人間をつくるキメ手はない。

                     森  信三



 



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腰骨を立てる

〇いやしくも、この世に生をうけた以上、それぞれの「分」に応じて一つの

 「心願」を抱き、最後のひと呼吸まで、それを貫かねばならぬ。それには、

 朝起きてから夜ねるまで、極力「腰骨」を立てつづける。これがわれわれ

 人間にとって性根を入れる極秘伝。


〇腰骨を立てるには次の三段階を心して。

 第一、尻を思い切り後ろにつき出すこと。

 第二、反対に腰骨をウンと前へ突き出す。

 第三、下腹に心もち力を入れると肩のキバリがスキッととれる。

 そして、二六時中こうしていないと、気分がダラケて気色が悪いと

 思うようになればまずまずという処。

           「不尽片言」  森 信三 述  寺田清一 筆録


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素顔

「きみは素顔のままのほうがいい」

あまり近寄り過ぎたので、彼の暖かい息がふわりと私の頬にあたったほどだった。

彼は私の唇を人さし指で指し示しながら、私の顔を間近で覗き込んだ。

「今つけている口紅は、きみにはあまり似合わない。それに白粉をつけるのも

やめたほうがいいな。きみは自分を飾りたてたりしないほうが、ずっといい。

きみはもともとチャーミングなんだし、ありのままでいたほうが素敵だ」


                 「柩の中の猫」 小池真理子


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大方は・・・

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情報と知識

「私は本当はTVなど見たくないし、家の中にTVを置いておく必要もないと思っ

ているんだよ。TVは垂れ流しだからね。情報は垂れ流されると、受け取る側の

感覚をマヒさせることになる。それに、知っておくべき情報なんて、実はとても

少ないんだ。若い世代の連中は、情報と知識は同じものだと考えているようだが

その二つはまるで別物だよ。情報というのは、自ら望まなくても耳に入ってくる

が、知識は自ら望まなくては、自分のものにならない。わかるね」


                 「夜ごとの闇の奥底で」 小池真理子



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必然

この世に偶然などなくて

すべてが必然だと言う

出会うべくして出会った

別れるべくして別れた

そういう風に心底思えたなら

これまでの人生の一コマ一コマが

愛おしく・・・

懐かしく・・・

うら寂しく・・・

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「父の文章教室」

メソッドは無能な者を掬いあげるための方便のようなものですが、メソッドで得られるものはせいぜいが並の上といったあたりの常識的な世渡りにすぎません。努力も同様です。頑張ればなんとかなるなどということをしんじているような者は敗者です。


父の念頭に社会性云々があったならば私をちゃんと通学させたでしょう。けれど父にとって学校教育など、どうでもよかったのです。ですから強制的な読書で文章が書けるようになるのかと問われれば、私の場合はそうだ、と答えましょう。脳も軀の一部であるがゆえに、筋肉と同様に負荷を与えなければ瘦せ細っていくのではないか。そんな屁理屈を胸に、私はいまでも読んで理解のできない書物を好んでひらくのです。


以前に引用したA・ジェンセンの『知能は遺伝的要因で八十パーセント、環境要因で二十パーセントがけっていされてしまう』という研究結果は実感的に正しいと感じられます。穴のあいた水瓶に水を注いでも無駄であるということです。

              「父の文章教室」 花村萬月

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がらじゃない

静けさにまさる

     強さはなくて



幸福だとは言わないが

     不幸ぶるのはがらじゃない



            吉田拓郎  流星

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絶望

日本人は「絶望」を知らない。絶望する前に諦観に入ってしまう。


「人間は自分の力でうちかち難い問題にぶつかると、つい神に訴えたくなるらしい、・・・これがあなたの御意志ですかとね、それは自分の無力さや弱さや絶望を、神に転嫁しようとする、人間のこすっからい考えかただ」


人の住んでいる家は生きているようにみえるものだ。住んでいる人にとっては、その家が性格を備えているようにみえる場合さえ少なくない。

山本周五郎

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逆境

・・・形のあるものは頼みにならない。
母はよくそう云っていた。金でも物でも、使えば減るか無くなってしまう、形のある物はいつか必ず無くなってしまうものだ。大切なのは減りもせず無くすこともできないものだ。人によってそれぞれ違うけれど、見つけようとすれば誰にでも、一つだけはそういうものがある筈だ。

「あなたの持っている才能も、このままではだめだ、もっと迷い、つまずき、幾十たびとなく転び、傷ついて血をながし、泥まみれなってからでなくては、本物にはならない」

「書物からまなぶ学問ではなく、生きた人間と、その生活です。人間と生活と、それを取り巻く世間、それが私の勉強の対象ですよ」

「人間にいちばん大切なのは逆境に立ったときだ、借銭などでいちじを凌ぐ癖がついたら、とうてい逆境からぬけ出ることはできない、どんなに苦しくとも、自分の力できりぬけてこそ立ち直れるものだ」

山本周五郎

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