安心しいるということは、
能天気に油断しているというのとはまったく違う。
物事にかしこく対処し、注意をはらい、
生きることに努力しながら、しかも根底では
安心している・・・。
そういう人間であろうと絶えず己に言い聞かせることだ。
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「正しいやり方を繰り返しなさい」
正しいやり方は、最初は難しいし、
何度繰り返しても身につきにくい。
だからいつのまにか、正しくないやり方へと
逃げてしまう。
だが、あきらめず、ひたすら繰り返していれば
いつか難なくそれができるようになる・・・」
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「草原の椅子」(宮本 輝)
やると決めたことは、倦まず弛まずやりつづける。
たとえ進み方がカタツムリのよりも遅いほどであろうとも、
生きているかぎりやめようとしない。
目くじらを立てることもなく、鼻息を荒くすることもなく、
決意を声高に語ることもなく、やると決めたことを
途中でやめたりはしない・・・。
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ありとあらゆる人間が、
ふるいにかけられているんじゃないかって気がするよ。
人間だけでなく、国というものも。
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「やっかみ深い民族だよ。
なにかっていうと他人のことに干渉しやがる。
そのくせ自分が干渉されると
自分の間違った考えや行ないを棚に上げて
逆恨みするんだ。」
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「草原の椅子」(宮本 輝)
人間は弱くて脆い。だが、不思議な強さと復元力もまた隠し持っている。
そうでなくてどうしてこの矛盾に満ちた人生を生き抜いていくことができよう。
「日本は、もういたる所、政治家や役人の既得権と私利私欲が大手を振って歩いてる。
民衆はなんで怒れへんのやろ。いつのまにか、日本人は正義を忘れてしまいよった。
日本人を、こんななさけない、卑屈な民族にしたのは、いったい誰なんやろ・・・・・」
「ひとつのことが、ちゃんとできるやつは、ほかのことも、ちゃんとできるんや、つまり、
その逆のケースは、ほとんどないっちゅうことや。ひとつのことができんやつは、
ほかのことをさせても、結局、あかんちゅう場合が多い」
草原の椅子(宮本 輝)