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耐えて

批判を受けて

捨て台詞を叩きつけられて

先を見通したかのように断罪されて


それらはすべて

言い返しようのない事実であり

ただ心の奥底に刻み込むしかなく


やっと見つけた

長いトンネルの向こうの薄明かりは

行ってみれば瞬時の幻で

いくつもの迷路の分岐点だった


ひとつを行っては引き返し

次のひとつを試みる

何度でも

何度でも


彼らが立てかけた壁は

頑強にしてそびえ立ち

打ち破ることも

よじ登ることも

できやしない


土の上で大の字になった僕に

大粒の雨が叩きつけ

跳ねた泥が目を潰す


口を開けよう

鼻腔を開こう

耳を研ぎ澄まそう


この繰り返しよ

この連鎖よ

僕は半歩でも前進しているのだろうか

posted by わたなべあきお | - | -

向日葵

先日まで咲き誇っていた

向日葵畑の大輪たちが

無残にもそのすべてを消していた

何にも屈しない勢いを見せていたのに


台風がもたらした大雨と強風

首の骨をへし折られたように

うなだれることもなく

見事なまでに黄色の花は消えてしまっていた


その光景との対比で

僕は航空機撃墜現場の映像を思い出していた

無残な墜落現場の向こう側に

延々と続くヒマワリの群生


そして僕は・・・

その映像の彼方に

ソフィア・ローレンの映画「ひまわり」を

思い出していた

ひまわりはその華やかさとともに

悲しみや残酷さを併せ持っているのかもしれない

posted by わたなべあきお | - | -

報道されるような賑やかさとは裏腹に

この町は淋しく廃れている

台風の予防のようにシャッターは降ろされて

看板たちは幾十年の前のようでクサく感じた


歩道を我が物顔で走る自転車が

どこへ向かうのか

立ち並ぶ店などまったく関係ないとでもいうように

無表情に通り向けて行った


表に出てきた帽子屋の主人が

僕を見て意味もなく笑っている

諦めの作り笑顔が

泣いているように見えたのは

ただの僕の想い過ごしだったのだろうか

posted by わたなべあきお | - | -

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