僕は、彼(彼女)に<罰当たれ!>とは思わないようにしてはいるが
必ずや、そうなると確信している。
傲慢、卑劣な奴らには、それ相当の報いがあって当たり前だと思う。
ここで問題となるのは「時」だ。
これは「即刻」の時もあれば、「何十年後」の時もある。
これは、彼(彼女)の問題だから、僕の意見を差し挟む余地はない。
哀れなるかな!・・・である。
僕は制裁の刃は握らない。
まるでブーメランのように、その答えは返ってくる。
僕がわが命を省みず、矢面に立った時、
あなたは、その存在を認識するだろうか?
「無駄死」とはこのことだ。
ああ、解っちゃいるさ。
敢て引っかかったふりをしている。
そうさ・・・僕は子供時代から「ピエロ」さ。
振り向けば寂しい
君の住むふるさと
若い日の涙は
明日への涙か
暗闇の彼方に
口笛が流れる
この道はいつの日にか
希望につながる
東の空に陽が昇るまで
とてもとても遠い旅路さ
暗闇の彼方に
口笛が流れる
この道はいつの日にか
希望につながる
アルバイトである配達の仕事を終えて、僕は車を車庫入れした。その車庫の横には、単独業務の作業場があって、丁度業務終了のチャイムが流れて、仕切りのドアが開かれた。そこの業務を一人でこなしていた女性が、後で束ねていた髪を解いた。ふわりと髪が流れるように肩に落ちた。まるで扇子を逆さにしたような美しい光景だった。
僕の存在に気付いた彼女が振り向いた。思わず軽く会釈をした。仕事中の彼女とは打って変わってちょっと大人びた女性を感じた。「お疲れさま!」かけられた言葉に、僕は軽く会釈をした。
バイトの身の僕は、社員さんたちとはそれほど深い関係性はなくて、軽く挨拶を交わす程度だったのだが、なぜかしら彼女には特殊な感情が湧き上がるのを覚えた。
大失恋の後遺症?で、数年間、無意識のうちに異性との距離を置いていた僕だったが、何故かこの時は、その壁が取り払われたように感じた。・・・とは言え、世間的にはまったくのプー太郎、こちらからどうこう言う資格などないと、内心諦めが僕の心を支配し続けていた。
あの雨の日の傘の事件?以来、何となくその距離は縮められて行って、僕たちは帰り道の半時間、喫茶店で話せる関係に成長?して行った。
あの頃、何を話したのか思い出せないが、彼女の前では自分を曝け出せる悦びを見出す僕が居た。ただ一緒に居るだけでイイ!そんな感情は何年ぶりだっただろうか?
進学校の同級生たちのほとんどが、それぞれの大学で勉学に勤しんでいるこの時期、自ら選んだ道とは言え、あまりにも波乱万丈なこの数年間に、僕の心はズタズタだった。もちろん、芯の部分の「自分」は辛うじて保ってはいたが、客観的に見れば、落ちこぼれのプー太郎そのものであったろう。
真っ暗闇とまでは言わないまでも、世の中の陰の部分を彷徨っていた僕に、突然の如く差し込んできた太陽の光だった。
僕の自戒はこうだ
同じ過ちを二度と起こさない
同じ石に二度躓かない
こう意識して生きていると
何と誘惑の罠の多いことか
見極めよ
正と邪
引っかかるな
誘惑の罠
一人の男(女)の成りすましが見えてくる
炙り出された顔に、文章に
真の弓矢が突き刺さる
天誅!
成敗!
さらば!架空の美女たちよ
さらば!夢空間の成功者たちよ
人間の価値は・・・<正義感>
灰色に包まれたとき
グレーゾーンに引きずり込まれたとき
毅然とした態度をとれるかどうか
そこにあなたの人間的価値が試される
又しても現出する「1対99」の世界
僕は(1)が立ち位置だ
おそらく世間は(99)だろう
真の友は一人でいい
九十九人も要らないさ
宝石箱に入れたままの
想い出たち
もう指や首を飾ることなく
ただ想い出色に錆びていく
ふっと息を吹きかけて
そっと優しく撫でてみる
くすんだ錆の隙間から
あなたの笑顔が蘇る
あの笑い声も あの温もりも
僕は駆け出したい
僕は叫びたい
僕は飛び込みたい
想い出という虹色の空間
『臨終のことを先に習いて 後に他事を学ぶべし』
(日扇聖人)
人は高齢者から順番に死ぬわけではない。仕事バリバリの成人も、学生も、子供
も赤ちゃんも、あるいは胎児さえも、みんな死ぬ時は死ぬ。しかし、大方の人間は
「ひとは死んでも、自分はまだまだ死なない」と思い込んでいる。
たとえば医師から癌のステージの宣告を受けたり、更には余命何カ月とまで言わ
れたりして、その時初めてひとは「いのち」の儚さを実感する。そしてこれまでの
安易な傲慢な無分別な生き方を後悔するのだ。
貴重な友が癌の宣告を受けた。ステージⅣらしい。以前から話していて、俗に
言う「延命治療」は受けないと言う。これは僕の考えとも合致している。単純な
諦めとも違う、人生観、死生観そのものの違いだろう。一言で「無駄に・・・」と
は言わないが、ただ息をしているだけの生存は望まないということだ。
秋元 康の「象の背中」を思い出す。余命宣告を受けた主人公が、級友や初恋の
彼女や、仕事上で関わった人たちを訪ね廻るシーンには共感を覚えた。そしてまた
死期を悟った象は、群れから離れ自分だけの死に場所へと向かうと言う。その高貴
なまでの行動が僕にできるかと問われれば疑問だ。西部 邁氏は自死を選択したが
これとても第三者の手を借りなければならなかった。人間は象のようにはいかな
い。アルプスの山奥で氷雪に埋もれるか滑落でもしないかぎり。
僕は友との約束を果たさなければならない。