わたなべあきおWeb

坂道

月と星の光りが導く・・・生まれ故郷の坂道
雲に覆われた夜は、漆黒の闇だった。
懐中電灯だけが頼り・・・父の手が離せなかった。

自転車を必死にこいだ・・・高校への坂道
南北に別れた新設校で、道もグランドも未整備で
雨の日はぬかるんで・・・大変だった。

四季の変化を手に取るように感じた・・・独身時代のアパートへの坂道
桜・・・紫陽花・・・向日葵・・・紅葉・・・雪景色
自然の中で、貧しくとも心洗われた・・・青春時代

廻りに何も建ってない・・・新居に向う坂道
鳥のさえずりで目を醒まし、昆虫採集で童心に帰った。
比叡山を正面に見て、東山連峰を見渡す・・・贅沢な借景
家への帰り道・・・後ろ向きで歩いたっけ。

時代時代の坂道
原点は生まれ故郷にあるらしい。
入り江を眼下に、ボ〜ッという汽笛をこだまのように聞いた。
家からもっともっと登って行ってみたかった山畑。
無花果・・・桃・・・夏蜜柑・・・あけび・・・梨・・・
いま想い出せば・・・それだけで幸せだな。

何をあくせく生きてるんだろう?
この人生の坂道・・・。

(Update : 2005/10/16)