放送部部室 オン・エアー前の緊張感が好きだった 原稿の3〜4行先を読む習性が 不安を払い落ち着きを生んだ 4時限目が終わり みんなが昼食を食べ始めるころ 技術部のQサインが出る 「みなさん、こんにちは・・・」 自分の声とは違うような 独特の反響音が心地よかった 声の主が僕である事を 知っている生徒はそう多くはいなかった それがまた妙な高揚感を生み出した 自分にしかないであろう 微妙な<間>に酔う自分がいた
笑った 笑った きみが笑った 笑わせた 笑わせた 僕が笑わせた 自然な笑顔に つなげるために 似合わぬ手法を試みた ホップ ステップ 次こそはジャンピングスマイル
歩いて登校する僕の横を さぁ〜っと自転車が通り抜けた すぐに君だと分ったけれど スチュワーデスを夢見る 普段の君とは想像もつかない ガニ股に近い必死のこぎ方だった あれが底知れないスタミナの源か バスケ部キャプテンの根性を見たようだった 僕の足も引っ張られるように速くなった 教室での君は 何も無かったかのように おしとやかに予習をしていた 「起立! 礼!」 なぜか僕の声は いつもより勇ましかった
みんな 心を残して去って行く 振り向かないけど 心はずっとこっちを見てる 大丈夫さ 僕がOKサインを出しても 親指を立てて突き出しても みんな みんな 僕を見ている 見守ってくれている
姉同然の存在だった君が 結婚して 産後に亡くなったと聞いて 僕は言葉が無かった 母親代わりの存在だった君が 結婚して 御主人が交通事故で亡くなったと聞いて 僕は言葉が無かった 運命とはどういうものなのか 違う道を選ぶことができたなら 君は生きたか 君は幸せを掴んだか みんな みんな 幼稚過ぎた僕のせいだ
意地っ張りな君の悲しみは すぐわかる 隠そうとすればするほど すぐわかる それだけ君は 正直者なんだよね
なんでやねん 孫が連発する なんでやねん 幼稚園での流行りコトバか なんでやねん じいちゃんが聞きたいよ なんでやねん
君と僕は同姓で 君のお母さんも先生で 二人は姉と弟みたいでした なんでも話して なんでも理解し合って なんの不自然もなかった あれは何時からだったんだろう この思いはなんだ? って思い始めたのは
顔は母親似かな おでこ 眉 目 鼻 口 輪郭・・・ 殊更に目が特徴的だ 母もどこか遠くを見ている 焦点が合っていないわけじゃない はるか遠くを見つめている 口元も意味ありの表情を見せる きりっともしてないし はっきり微笑むわけでもない 微妙な笑みを浮かべている 照れなのか相手に対する防御なのか 両頬を叩いて鏡を離れ 僕は現実に立ち向かう まだ眼力は残っているぞ
心の無重力とでも言える 空間があったなら すんなりドッキングできたでしょう 重力が 葛藤や摩擦や逃避を生み出し 激しい磁力は衝突を引き起こす 心世界の塵たちは 想像以上に厄介で ひっつき絡み締めあげて 過呼吸世界に引きずり込む 転結は要らないさ 起承を繰り返してくれないか 終わりのない世界に 漂わせてはくれないかい
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