東方の山の上あたりに 下弦の白い月が うすぼんやりと浮かんでいる 存在感の希薄さに 自分を重ねてしまうのは 自虐的すぎるでしょうか 目を凝らしてみましょうか 笑う口もとが隠れているかもしれません
時の流れも 時の重さも 昔の方がはるかに良かったさ 手紙を待つ間のときめき そして胸の痛み 果たしてそれと同じだろうか メールの送信に 躊躇する僕がいる 速すぎる返信は なぜか悦びを半減させる もうちょっと・・・ 焦らせてほしい
言わなくてもわかるだろう と思う僕 言葉にしなくちゃ伝わらない と言う君 疑心暗鬼も楽しみのうち と思う僕 見つめ合って確認したい と言う君 こんな凸凹に 味が生まれる とは言いながら・・・ 詰まる所は 二 対 八 どこまで行っても 主導権は君
頭でっかち 頭でっかち 行いが伴わない 口では偉そうなことを言う 実がない 実がない もっと落ちてみよう 底の底を見てみよう 昨日の空は抜けるように青かった 垣間見せられたような気がしたのです 希望を捨てるなよ・・・と
ひとつ山を越えれば また次の山が迫る ひとつ谷を渡れば また次の谷に出くわす 野営のテントは破れて 雨風も凌げない 携帯が震える 確認しなくても分かっているさ 出れば 発する言葉が嘘となる 出なければ なおのこと罪深くなる 迷路という認識はない 向かう方向は間違っちゃいない 如何せん 障害物が多すぎる 人力でしかも独りで 跳ね除けるには重すぎる CRY CRY CRY
制限時間は三十分 跨線橋の下で待ち合わせ その瞬間に生きて 明日のことなど考えなかった そう・・・ 考えなかったのは男の僕で 女のきみはリアルに先を思い描いていた 父のお気に入りのきみは 二歩も三歩も前を歩いていた 敷かれたレールがあまりに真っ直ぐすぎて 僕は置き石をしてしまった
春はコバルトブルー あたたかい陽射しのなかで きみはあざやかなブルーのシャツを着た 学生服で坊主頭の僕は そんな色の対比に戸惑った 夏は満天の星空 離れ小島の海岸の小舟で 二人並んで降るような星を見上げた 打ち寄せる波の音に 僕の胸の鼓動は隠されただろうか 秋は紅葉の東福寺 アパートに向かう坂道を 二人腕を組んで靴音を響かせた 歩調を合わせる僕に きみはわざとずらしていたずらっぽく笑った 冬は震えるような小部屋 たったひとつのブルーの寝袋で ふたり向い合せに入った はじめ狭くて冷たい空間が 夢見るような暖炉の光に包まれた
世間の風が冷たいんじゃなくて 自分の心が冷え切っているから 世間のせいにしてるんだ こんなときは 掻き立てても掻き立てても 発火の瞬間は訪れない でも・・・ 根気よく粘り強く 続けるしかない 安易な助け舟を願う気はさらさらない
宿命的なものを背負って 生きている奴には かなわない かなわない 貧困であれ 差別であれ 何であれ すべてを全身で受け止めてる奴には かなわない かなわない 彼らから ある種の羨望の眼を向けられる自分が 恥ずかしい 恥ずかしい 何も背負わない気楽さ その裏返しにある無気力 生きるとは 何だ
背伸びをしない 無理をしない ちょっとだけ 自分に負荷を与えよう 現状に安住しないために ストップは 後退のはじめだから
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