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レッドカード

ほんのちょっとした時間のずれが

とてつもなく大きな溝を生んだ

疑念や詮索を超えて

突き当りの右か左の選択肢

どちらを答えたって

君の手にはレッドカードが握られている

多弁な言い訳も無言の沈黙も許されず

僕は途方に暮れた

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posted by わたなべあきお | - | -

独りぼっち

今しかできないなぁ〜という夢がある

そう思いながら五年は経っただろうか

キャンピングカーとまではいかなくても

車中で寝られる大きめのワゴン車でいい

お世話になったあの人に

懐かしいあの人に

あの人にも、あの人にも

逢いに行こうと思ったいるのだ

葬式ではだめなんだ

生きてる間に行かなくちゃ

飲んで・・・飲んで・・・

語り・・・歌い・・・懺悔する

あのひとはもういない

あのひとももういない

みんなが僕を

独りぼっちにしてしまう

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posted by わたなべあきお | - | -

颯爽と

背筋を伸ばして

しっかり前を向き

颯爽と歩く貴女に

しばし目を奪われた

ハンドルを握る僕が

猫背になっているのに気付いて

僕は車中で

よしっ!と気合を入れた

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posted by わたなべあきお | - | -

黒い色のジーパン

うす紫の山並みは ふるさとの色
なだらかな山稜が 湖に映る
二人で堤に腰かけて
だまっていつまでも眺めてた
うす紫の山並みは ふるさとの色

ブルーグレーの夜空は 想い出の色
一番星を待つ前の わずかな瞬間
二人で小舟に横たわり
満天の星空を待ちわびた
ブルーグレーの夜空は 想い出の色

黒い色のジーパンは 悲しみの色
ボタンダウンのシャツが 似合ってた
二人が別れた坂道に
きみの靴音が遠ざかって行った
黒い色のジーパンは 悲しみの色
 

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月桂樹

隣地境界の斜面に

雨に濡れながら

月桂樹が独り立っている

低木たちのような刈取りの難を逃れて

枝を伸ばし緑の葉をひろげ

天に向かって伸びている

また二階のベランダを追い越したね


怪しい病害にも負けず

虫たちの侵攻にも怯まず

きみはいつも天を目指している

雄々しいと表現しようか

凛々しいと語ろうか


雨に濡れて

きみは独りで立っている

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怒り

荒々しい言葉が内奥に充満して

唇を突き破ろうとする瞬間

どこから現れるのか

自制の圧縮空気が

充填工具のように

押し返してゆく


重苦しい沈殿

真っ暗な底部に収まった瞬間から

またしても沸々と

マグマは襞を突き破ろうとする

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たちあがれ

きみはそのままのきみであれ

なにもかえることはない

どこまでも

きみはそのままのきみであれ


ぼくはこのままのぼくではだめだ

こんていからかえなくてはならない

いつのひか

きみとならぶぼくじしんになりたい


くろいかげが

ぼくをむしするかのように

おいこしてゆく

ぼくのゆくてをさえぎり

ふりむいてかぜをふきつける

あたかも

まいりましたとひざまづけ

とでもいうように


たすけぶねはいりません

ぼうふうりんもいりません

たおされても

またたちあがるだけのことです

きみがそうしてきたように

またたちあがるだけのことです

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おばちゃん

おばちゃんが面白い
外で仕事をしていると
気楽に話しかけてくる
「おはようさんどす」
「ごくろうさんどすな」
帰りには
「ちょっとイズミヤまで行ってきましてん」
「おきばりやす」

たぶん・・・
家では独りなんだろうと推察する
人恋しさ
孤独との闘い
そんな心理の裏返しかも

立派な門構えの続く家々で
それとは裏腹に
中にはうら悲しい空気が
充満しているのかもしれない

外へ出て
自分を確認する
誰でもいいから
言葉を発する
そうでもしないと
生きていることを
確信できないのかも知れない

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金と色

金と色の落とし穴

ドスン!と落ちなくても

蟻地獄のように

引きずり込まれて行くもの


金と色の誘惑

空中なら大丈夫と思っても

霞み網が待っている

蜘蛛の巣が狙ってる


そうか

悪鬼悪魔は

そうやって忍び寄るのか

善人ぶって

親切ぶって

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posted by わたなべあきお | - | -

時の速さを感じないかい
幼いころも
今も
ホントは同じなんだけどね

昔の一日が
今の一か月くらいに感じる
幅広い未来と
先の短い明日との
そういう差なのかな

その溝を埋める
手立てはあるよ

充実度
密度
そういうところだね

遠くを見る目と
今を見る目との
微妙なバランス

そこに
時は
歩みを速めたり
のらりくらりしたりする

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